二度目の邂逅
「…おや?めずらしいね、バットなんか持って?」
「あんたは?」
「ああ、私は沢村だ。」
「どうも…?野球をしないか?」
しばらく、歩いていると野球のユニフォームをまとった男に出会った。
やせ型ではあったが、肩はしっかりとしていた。
「いいですけど・・2人で?」
「ああ、ルールはそうだね、6回の内、一回でも打てれば君の勝ちだ。」
「いいのか。それで?」
「ああ、それじゃあ、そこに立っていてくれ。」
「わかった。」
「…来てくれ、草薙!」
すると、当たりは一変した。
周りには、大量の人が集まり、何やら騒いでいた。
どこかで、見たことのある景色だった。
「…野球場?」
「ああ、勝負だ!」
(カウントは…九回裏、ランナー…満塁?…ツーアウト?)
「よっし、こい!」
「ああ、行くぞ!」
(…っ、速い!)
「ボール!」
「「あきらめない奴には、誰も勝てないんだ。」」
(…ここ!)
「ファール!」
(…なっ。)
「「簡単ではないかもしれない、でもそれはできないという理由にはならないんだ。」」
(…落ち着け。)
「ボール!」
「「君ならできる。世界は君のものさ。」」
(…まだだ。)
「ボール!」
「「俺は思いっきり振る。渾身の力を込めてな。でっかく当たるか、でっかく外すかのどっちかだ。俺はできる限りでっかく生きたいんだ。」」
(…ここ!)
「ストライク!」
「なっ…。」
「どうした?そんなものか?それで優勝できるとでも!」
「まだ、まだ終わってない!」
「そうだ、その顔を見たかったんだ!」
「「ファンは二塁打を3本飛ばすんじゃなくて、ホームランを一本打つのを見に来てるんだ。」」
(はあっ!)
沢村が放ったのは…ストレートだった。
俺が打ったボールはどんどん俺から離れて行く…そして…。
「入った…。」
「おめでとう、君の勝ちだ。」
「…やった…。ちょっと、疲れたかな。」
俺は、また、気を失ってしまったようだ。
「はあ…、さてと俺も行くか…。」
「なあ、ルース?アンパイアはどうだ?」
「ははっ、やっぱり、楽しいものだよ。内容が良ければね。」
「そうだな…。」