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甲子園
甲子園球場
第三試合 18回裏
東海学園対浦和桐蔭
「…。」
俺は今、二、三塁に走者を抱える形になっている。
左中間にヒットを放たれてから、送りバントが成功し、そしてフォアボールによる進塁、さらに、盗塁も許してしまった。
今、なんとか三振を取り、そして、カウントが終わった。
(ボール…?)
俺は首を振った。
ここで、アウトを取ってしまえば試合を終わらせられる。
点差はたったの一点。
ここで、打たれてしまった時点で終わってしまう…俺たちの夏が。
ここは、一か八か、ストレートで勝負をしたい。
(…。)
目を向けて、腕を力強く振った。
ボールは、ただキャッチャーミットに進んでいく。
そして、振り下ろされたバットよりも速く、届いた。
「ストライク、バッター、アウト!」
…ああ、やったのか。
投球数は200を超えていた。
俺は、歓声を聞いた瞬間、気を失った。
そういえば、今日は暑くなるんだったっけ?