24時間おっぱい ~エロは恥丘(ちきゅう)を救う~ 前編
「――ん」
「おはよう、伸介」
「……おはよう、ミリアル」
大きめのベッドの上で目覚めると俺のすぐ横でミリアルが微笑み、声を掛けてくる。薄手のピンク色のネグリジェを着ていてその美しい胸元に思わず吸い寄せられる。
「――だぁめ」
そう言って彼女は俺の顔をその豊満な胸元から離す。
「だって――」
殺生な。もう少しだけ、堪能したい。
「ほら、もう仕方ないわね――」
むぎゅ――ちゅぅ。
「――」
抱き留められ、柔らかい彼女の唇が俺のそれに触れる。
ねっとりとした温かい感触に包まれ――幸福感に包まれる。
「――はぁ」
「さ、仕事でしょ? 今日は新しいお客様が来るんだから」
「――ああ、そうだな」
幸せなひと時を堪能し俺は起き上がる。そう、俺は幸せ者だ。ただ一つの不満を除いては。
◆
ミリアルに送り出されて俺は幡ヶ谷の屋敷へと向かう。すると――。
「よう、あんちゃん。元気か?」
「ああ、狩野のおじさん」
近所に住むビルのオーナーの爺ちゃんだ。もう色々リタイアして、今は日がな一日ぶらぶらして、この辺をうろついている。
「何だ? 綺麗な嫁さん貰ったのか?」
「あ……ええまあ。入籍はこれからですけど」
「そっか~よかったなあんちゃん! ゲハハ」
下品な笑い方で彼は俺を祝福する。悪気があるわけではなく、単にこういう人なので気にしないことにしている。
「ええなあ、外国人か。で、どうなん、洋物の味は?」
「――はは、まあ、いい、ですよ」
「またまた~あんちゃん、今度こっそり教えてくれよ~」
「は――はは……。ちょっと急ぐので、また」
適当にはぐらかして俺はその場を辞する。足早に立ち去ってから、俺は眉を顰めた。
「――生殺しなんだよなあ」
そう、この生活がもう半月ほど。彼女がそばにいる。仕事もある。幸せそのものであるが、俺の息子は未だ沈黙を強いられている。そろそろ暴発しかねない。
「でもなあ――」
無理やり迫って襲うなんて真似はしたくなかった。出来れば、ミリアルの希望に沿った形で致したいところである。何せ、元々異世界側の住人なのにこちらに移住してくれたのだ。色々負担もあるだろうし、俺の我儘を通すのは難しいなと思っていた。息子は限界だが。
「さて、お迎え致しますかね……」
きょうのお客様を出迎えるために扉の前に立つ。光に包まれた扉から出てきたのは――。
ぼいーん。
ゴシゴシ。
思わず俺は目をこする。
ばいーん。ぼいーん。
うむ、おっぱいだ。
「あふ~ん」
あ、おっぱいが喋った。
しかしよく見ればそのあまりにも巨大なおっぱいの上にはちゃんと頭があった。紫色の長い髪、怪しく光る紫の瞳、あまりにも布面積が少ない黒いボンテージのような服。キワッキワまで攻めていて、ケツなんてもう全部出てるんじゃないかと勘違いするぐらいはみ出ている。そしてその尻からは先っぽがハート型をしている尻尾がぴょこぴょこと生えて動いている。で、極め付きはやっぱり胸だ。なんだあのおっぱい?
マイクロビキニに巨乳を無理やり詰め込んだような――今にもはち切れそうな中華まん。それが生きもののように――てか生きものか、それがスライムのようにウネリ、しかし張りをもって重力に逆らうかのように上下に揺れる。
「こんにちは~ん」
「うえ!?」
気が付けばおっぱいがもう目の前にいた。手を出せばもう掴んで色々出来ちゃう距離にその凶器がある。
「こっちは~初めてだからぁ~よろしくぅ~ね?」
そう言うと彼女は俺の耳元に口を近づけ『ふっ』と息を吹きかけた。
「あ――ふっ……」
やっっっっば! 一瞬で俺の息子が硬直するのを感じ俺は逆に危機感を持った。浮気したいわけじゃない。しかし――強制的に、男の本能を擽って来るような逆らい難い感情に囚われる。そして――その正体が彼女の魔力にあることを俺は察した。エリザさんから借り受けた魔力が無ければ、もしかしたらもう――。
俺は、何とか自分を支えつつ、彼女に訊ねた。
「あなた――魔物、ですね?」
「ん、そうよぉ? サキュバスのぉ~ エロリンちゃんでぇ~す」
赤い舌をぺろりと艶めかしく動かし彼女はそう答えた。やべえ、R指定キャラだ! タグ変えなきゃ(メタ発言)!
◆
「はい、これ戸籍関係の証明書ですね。これで、書類上はもう結婚できるっすよ」
「ありがとう、ドリスコル叔父様」
二人は幡ヶ谷の近くにある喫茶店のテーブル席で向かい合っている。
「いやあ、叔父として当然のことをしたまでっすよ。二人には幸せになって貰わないと困りますしね」
「ふふ、そんなの当然ですわ」
「自信家ですねー。でも、気を抜いたら浮気しちゃってるかもしれませんよ?」
「あら? 彼にとって私より良い女がいるとでも?」
「いや、いないと思いますけど。でもほら、なぜか男って言うのは色々つまみ食いしたくなる生き物だっていう人もいますし?」
「ふふ、杞憂ですわ。叔父様と一緒にしないでいただけます?」
彼女の瞳には『色々知ってますわよ?』という文字が浮かんでいる。
「――はは、なら心配いらないっすね」
「ええ、そうね。ほほほ」
そんな会話が繰り広げられていた頃――。
◆
「ねぇ……お腹空いちゃった」
「は、はぁ……」
屋敷の居間――俺の身体にまるで巻き付くように彼女が身体を預けてくる。抵抗したいのだが、一線を守るだけで魔力が一杯いっぱいになっている。もしや、このエロリンさんて、強いのか?
「ふふ、この匂い、エリザねぇ~。エリザともしてたのぉ?」
「え、お知り合いなんですか?」
「うん、そうよぉ? 同じ魔王学園で彼女が首席、私が二番目ぇ~」
まじかよ。めっちゃつえーじゃん。そりゃ抵抗するだけで手一杯なわけだ。逃げ出したいのだが、上手く体が動かせない。抗いがたい衝動に耐えながら俺は何とか会話を続ける。
「あ、あの。お腹が空いたのでしたら飯屋でも行きますか?」
「ええ~? サキュバスのご飯って言ったら、わかるでしょぉ~?」
『わかるでしょぉ~?』の部分がやたら強調される。
「わ、分かりかねます」
「精液よ、お・ば・か・さ・ん」
そう言って彼女は俺の息子に手を伸ばそうとする。いかん、そこから先はR18でノクターン送りだ。
俺は――借り物の魔力を一気に放出する。
「きゃうん!」
「はっ――あ……」
何とか俺は彼女の手の中から脱出して距離を取った。
「んもぉ~。良いじゃない、少しくらい」
「いや、駄目です。そういうのは、困ります」
「少しだけよぉ~、ね? 10時間ぐらいすれば満足するからぁ」
「全然少しじゃないな!?」
チョコボール〇井やドクタース〇イムじゃあるまいしそんなに相手が出来るか!
「そもそも俺には心に決めた人いるので! そういうのは間に合って……」
思わず朝のミリアルとの逢瀬を思い出す。う、ちょっと物足りない。
「嘘ついてもだぁめ? 匂いで、分かるわよ、してないの」
「はっ!?」
もう彼女は目の前にいた。俺の手をガッチリとホールドしてその凶器を俺の顔に押し付ける。
「素直になっちゃいなさいよぉ……本能のまま、に」
「――本能」
「そう、本能、あるがままに、貪り尽くすの」
彼女の魔力に押しやられるように、俺の理性が遠のいていく。
俺の本能――したい、したいこと――。
「――ああ、したい」
「――そうよ、さあ、解き放って?」
俺は脳裏に浮かんだものの声を確かに聞いた。そうだ――俺は……。
次話はノクターンで 異世界民泊SAGA にタイトル変えて続きます(嘘




