エルフ夫妻は腹黒い? ~ 高円寺・にょろにょろなカフェその1 ~
昨日は更新できず申し訳ありません。いやあ、古戦場は強敵でしたね(38000位くらい)
現在漫画ネームをちょっとやってるので更新ペースや分量が減り気味になっております。提出したら更新ペース戻します。
「ほほ、これは確かに愉快ですねえ」
ドリスコルが楽し気な声を上げる。
絵本に出てきそうな薄緑色の木の家の玄関を潜ると中も一面、木、である。一番下が厨房兼会計で、入ってすぐ左にピザを焼く窯が見えている。真正面に見える狭い階段でらせん状に上がる。二階からが客席なのだ。
ギシギシ、と鳴る階段を上がり切るとそこには――。
「おお……」
思わず声が漏れる。声の主はレイラさんだ。
「気に入りました?」
「あ、いや……ま、まあまあかもな」
来る前からつまらなさそうにしていたレイラさんの瞳に少し元気が出てきたような気がした。
二階に上がるとそこは『木の空間』だ。机も、椅子も、床も、そして、はしごと――その上のロフトも、だ。
「上がってみます?」
「あそこも客席なのですか?」
「そうだよレイ。なかなか愉快な構造だろう?」
遊び心満点な店内に否が応でもテンションがあがる。正直、この店は訪れないとその良さが正確に伝わらない。
「奥は……どうなっているのですか?」
「あっちも客席だよ。ちょっと覗いてみようか」
二階席の奥へと足を踏み入れると――。
「うわあ……」
レイラさんがいの一番に声を上げた。出迎えたのは壁一面の動物の絵だ。温かみのあるイラストに囲まれ、さながら動物たちとお茶会をしているような気分に浸れる。なかなかないロケーションの空間だ。ここは外も絵本のような――そして中身も絵本のように、そう作られているのだ。
俺の訪れたことのある店の中で、最も店そのものに拘っていると言えるかもしれない。
「せっかくだからロフトにしましょうかね。これは、上から見たいです」
ドリスコルが提案し、俺達はそうすることにした。
「気を付けてな、みんな」
そう言ったものの、一番危なっかしかったのは俺だった。エルフの二人は言わずもがな、レイも器用に登っていった。俺だけ、ちょっと足を外して落ち掛けた。いかんな、運動しよ。
「いやあ、いいですねえここ。住みたいです」
ドリスコルがロフト席の真ん中に座って笑顔で答える。その横にレイラさんが座り、俺達は対面するように座った。割と開放的な造りになっているので狭さは言うほど感じない。まあ、いきなり立ったら危ないかもしれないが。
「注文はそこの紐を引くと1Fから店員が来ますからそれでします。えーと、メニューはこっちかな……」
俺はメニュー表を広げる。するとそこには写真付きで可愛らしい食べ物が沢山映っている。皆が目を止めたのは、主にケーキのコーナーだ。
「飯は良い感じ?」
「今は小腹が空いてる感じですから、お茶メニューでよいのでは?」
「ま、それでいいか」
俺もこの店はお茶で来る方が好きだった。カフェメニューなので分量が大ぐらいの俺には若干合わないのだ。ただ、タコライスや焼きナスのカレードリア自体はたまに食べたいなと思う。タコライスもドリアも主役は野菜だ。野菜の優しい味を活かしたまま、子供の好きな味付けで迫って来る。
タコライスはチーズと卵、そして振りかけたマヨの味に、アクセントのタコが混じり、さらっと食べれる。サラッとたべれるがゆえに、物足りなく感じてしまう。それはドリアも同様だ。ホワイトソースと焼いた香ばしいなす、そしてホウレンソウがそれに絡み美味しく食べれる。味に雑味が無いからこれもあっという間に平らげてしまう。だからこそこの店のメインは――デザートにあると言える。
「どれも、可愛らしいですね」
レイが答える。
「そうですねえ、まるでレイさんみたいな小さくてかわいい菓子ばかりで目移りしちゃいますね」
「おい、ドリスコル、口説く相手間違えてるぞ?」
「え、いやお世辞っていうのは身内にするものではないですよね?」
「理屈はそうだけどさ……」
俺はレイラさんのことを気にしていた。どうも、時折視線が泳ぐのだ。しかもそれは、どうも――レイに向けられているような気がする。
「レイはどれがいい?」
「……決めかねます。どれも、美味しそうです」
レイの目線は3つの間を目まぐるしく移動している。「ふわふわシフォン」「贅沢生チョコ焼き」「モンブラン」だ。
「じゃあ適当に頼むか、それで好きなのシェアしよう」
「賛成~!」
乙女っぽい動作でドリスコルが最初に手を挙げた。
レイラさんは、と言えばその様子を複雑そうな表情で見つめ続けていた。
この店も割とデート御用達な感があります。初見の女性には受けはいいかもしれません。料理は作中通りに私には分量が合いません(笑)なのでデザートも食べるのがこの店の正しい利用方法だと個人的には思っています。




