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あの日

 ある日の朝方、私はいつものように寝ぼけながら同じベッドで寝ているかわいいハニーに抱きつこうとした。

すると、ハニーから

「キャー」

という悲鳴が聞こえた。

眠気が吹っ飛び、ハニーを見てみると、ハニーは

「近寄らないで!!」

と言った。


 私はすぐに感づいた。

どうやらハニーはあの日らしい。

あの日とは女の子特有のあの日のことだ。

私はそんなに重くなく月に1回で3,4日で終わるが、神族や魔族は寿命が長いせいか1年に1回、最低でも1週間かかるらしい。

しかも1年に1回のせいか、かなり重いらしい。

どういう症状を呈するかというと腹痛、吐き気、頭痛も人間のそれよりもかなりひどい。

そして、かなりイライラしやすく神力や魔力が制御できなくなるらしい。

ハニーは神族だ。

雷神という種族だ。

しかも高位の神族だ。

ハニーは私を傷つけるのを恐れて「近寄らないで」と言ったのだと思う。


 ハニーの様子を見た私にはやることがあった。それは学校に通報することだ。

ハニーの力がいつ暴発するか分からない。

幸い保健室の奥の部屋には力が暴発したときに備えて制御室がある。

そして、そのための救急隊員も居る。

一刻も早く連絡しないとこの女子寮が跡形もなく消え去る可能性がある。

私は慌てて学校に連絡した。


 しばらくすると救急隊員の女の人たちが来た。

その人たちはびっくりしたように

「また!!さっき、高位の魔族を運んでいったばっかりなのに。」

聞くと同じクラスで水魔のみすずちゃんがハニーと全く同じ症状で運ばれていったそうである。

隊員たちは

「どうする?制御室は一つしかないよ。」

「一緒に入れておくしかないでしょ。」

「でも、神族と魔族だよ。」

「しょうがないでしょ!!」

彼女たちはそう言いながらハニーを制御室に連れて行った。


 私も心配になった。

神族と魔族はとにかく仲が悪い。

なぜ仲が悪いのかというと、そのことを説明するには神族と魔族の長い歴史を説明しなければならない。

神族と魔族は元々一つの種族だった。

しかし、互いの考えの違いから種族は分離し、それぞれ別々の異世界で暮らすようになった。

そして、長い間それぞれ平和に暮らしているはずだった。

しかし、異世界統合が始まり神族と魔族が一緒に暮らさざるをえなくなる。

そして、お互いに折り合えるはずもなく100年戦争に突入した。

神族や魔族にとっての100年は寿命に比べてあっという間らしいが人間にとっては大迷惑である。

そこで人間は神族と魔族の間に立ち和平を図った。

人間界の努力によって今日の平和が保たれたのだ。

その功績が認められて3年前に人間界に高等教育の女子校と男子校が設立された。

(ここでの高等教育とは高校と大学を合併させた学校のことである。)

そして女子校の校長には女性である大魔王が(普段は使い魔の女性が代理)、男子校の校長は男性である大神王が兼任をしています。

ちなみに女子校の職員は全員が女性、男子校の職員は全員が男性である。

そして、同じ学年であれば皆同じ年齢である。


 制御室に運ばれていった彼女たちはその期間そこから出ることは禁止されている。

私はハニーたちを心配しながら、女子寮から登校した。

保健室を覗きに行くと、、奥の制御室から罵声が聞こえてきた。

「てめぇ、もう一回言ってみろ!!この腐れ神族が!!」

いつもはにこやかでおしとやかな水魔のみすずちゃんがとんでもない悪態をついている。

どうやらこの期間は理性が効かなくなるようだ。

まあ、魔族らしいと言えば魔族らしいがなかなか見ない姿だ。

そして負けじとハニーが

「あなたみたいな腐れ魔族に言われたくないわ。」

と負けじと応じている。


 私は本気のけんかになるのも時間の問題だと思った。

事実、担任のかぐちゃんも今週一週間は授業にならないだろうと。

そして数日後、予感が現実となった。

それは制御室の中とはいえ、壮絶なものだった。

高位の神族と高位の魔族の戦いだ。

とてつもない威力、この二人は破壊の限りを尽くした。(と言っても制御室の中だけ)

(ちなみに制御室にはシールドも張っているので外の被害はない。)

見るに見かねた担任の天使のかぐちゃんは制御室の中に入り、それぞれのお腹に一発を浴びせた。

そうすると彼女たちは失神をし、その場で倒れた。

私はその様子を見てかぐちゃんはえぐいことするなと思い、ぞっとした。

そのあとかぐちゃんは天使の不思議な力を使い、ボコボコの制御室を1時間かけて元通りに直した。


 このあともこういうけんかが2,3回続いた。

その度にかぐちゃんが出動し、けんかを収め制御室を直してきた。

そして一週間後彼女たちは晴れやかな顔をして制御室を出た。

制御室を出るときにはすっかり仲良くなっていた。

元々彼女たちは種族の違いにこだわりはないそうだ。

何しろ拳で語り合ったことがよかったとハニーは言っていた。

私は心の中で少年漫画かよとツッコんでいた。

そして、無事に制御室から出られたことを喜んだ。

みすずちゃんもいつものにこやかでおしとやかな性格に戻っていて本当によかったと思った。

ルームメイトで恋人のあきらちゃんも泣いて抱きついていた。



 






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