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ゴールデンウィーク

 入学してから一月が過ぎようとしているとき、ようやく待ちに待った大型連休、ゴールデンウイークがやってきた。

私にはルームメイトで恋人のハニーが居る。

ハニーは神族の中の雷神という種類である。

寮は女子寮なので、当然私もハニーも女の子だ。

ハニーとどう過ごそうかと思っていたら、ハニーはどうやら実家に呼び戻されるらしい。

年に一回、雷神会議という名の家族会議に出席しなければいけないらしい。

なので、ゴールデンウィーク中は不在である。

ハニーは家族会議の中で私のことを話すらしい。

ハニー曰く神族は性別にはこだわりがないそうなんですんなり受け入れられるだろうとのこと。

じゃあ、私が

「種族的にはどうなの?」

と聞くとハニーは困ったような顔をして

「え〜と、大丈夫じゃないかしら。・・・・・・多分。」

今度は気弱そうな答え方をした。

性別の壁は乗り越えてもなかなか、種族の壁は難しいようである。

種族が違うといろいろと軋轢あつれきがあるのだそうだが特に人間は神族より寿命が短いので反対する人が多いのだそう。

そうなると、余計なお世話かもしれないがうちのクラスの神族と魔族のカップルは大丈夫だろうかと不安になってきた。

ちなみにうちの学校は女子校である。

つまりみんな女同士のカップルの話だ。


 ハニーが実家に帰り、私が実家に帰るのが面倒で寮の部屋でごろごろとしていたある日、誰かが私の部屋を訪ねてきた。

ドアを開けるとそこにはかわいらしい2人の美少女が立っていた。

「ひめちゃん、いますか?」

一人の少女がそう訪ねてきた。

どうやら、ひめちゃんとはハニーこと雷田らいた 静姫しずきのことらしい。

なるほど、静姫しずきの一文字をとってひめちゃんと言うことらしい。

よく見ると、ハニーがいつもつるんでいるお仲間みたいだ。

私はとっさに

「ごめんなさいね。

ハニー・・・・・・じゃなかった雷田さんはゴールデンウイーク中、不在なの。

あなたたちは雷田らいたさんのお友達よね。

聞いてなかったの?」

と言うと彼女たちは

「こちらこそごめんなさい。

ひめちゃんを訪ねに来たというのは口実なの。

本当はひめちゃんの彼女さんがどういう顔をしているのか興味本位で確かめてみたかったの」


 私にとっては意外な答えである。

というのもこの前の廊下での彼女たちの会話が全くの真逆だったからである。

「ねえ、ねえ、ひめちゃん、ルームメイトが人間の娘だって聞いたんだけどどんな娘なの?」

「あ〜、あの人間の娘ね。どうもこうもないわよ。最悪!!

だいたい、神族と一緒の部屋になること自体おこがましいにもほどがあるわ」

ハニーは極端なツンデレである。

どうしても私たちのことは周りにはばれたくないみたいだ。

なのに、この2人はなぜ、私たちの仲を知っているのだろうか。

私は急に二人に興味を持ち始めた。


 「さあ、さあ、玄関では何ですので奥に入って。お茶でもゆっくり。」

私は二人を招き入れた。

そして、紅茶を急いで用意し、(といってもティーバッグのだが)二人の話を聞くことにした。

まずは私の自己紹介

「私の名前は作道さくみち 進葵たまき、人間です。

お気づきの通り、雷田さんの恋人です。」

とすると彼女たちも順番に自己紹介をし始めた。

「こちらこそご丁寧に。

え〜と、私は隣のクラスのもので名前は雪原ゆきはら まいと申します。

一応妖怪です。

雪女という種類になると思います」

「うちも隣のクラスで名前は雨川あめかわ 千環ちわ

妖怪で雨女やで。

雨女言うても人間の雨女とちゃうで。

まあ、簡単に言うと雪女の雨バージョンやと思ってくたらええけどな」

内気な雪女と明るい雨女。

個性豊かな二人である。

私は率直に何でハニーと私の仲を知っているのか聞いてみた。

「そんなん、クラス中の誰もが知ってるやん。

知らんと思うとるのははあんたらだけやと思うで」

「え〜と、バレバレだと思います。

作道さくみち(私)さんも知っているとおり、彼女は極端なツンデレで言動もあれですけど言葉の端々や表情などでバレバレですので。」

私は本人が知っているのかと聞いたら

「言えるわけないやん。

体力測定の時もダンチやったけど、うちのクラスで彼女に敵う奴はいないんやないか。

あんたんところの水魔とええ勝負やと思うで。

そんな彼女を怒らせるようなことはようしいへん。

でもこう言うと、クラスで浮いているかもと思うかもしれへんがクラスの人気者の一人やと思うで。

少なくともうちらはそう思うとる」

私は意外なところでクラスのパワーバランスを聞けたと思う。


 ついでに世界最強種の可能性もある委員長のことについても聞いてみた。

「あんなん話にならへん。

まあ、死んでしまえば最強かもしれへんけどな(笑)。

普段は人間とそう変わらへんし。

だから、人間として生きたいというのも分からんでもないわ。

ただ、パワーバランス的にはあの水魔やで。あれは怒らせたらあかんで」

ふだんはおとなしい水魔のみすずちゃんがちょっと恐ろしく見えた。


とまあ、今日はガールズトークに花が咲いた。

私もここでは書けないハニーとのなれそめなどを話した。

そして、私が知らないハニーの素顔なども聞けた。

ゴールデンウィークが終わる頃私は新たな気持ちでハニーを迎え入れることが出来そうだ。



 

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