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写生大会

 今日は写生大会、授業をつぶして全校生徒で写生をすることになりました。


 それは突然、朝告げられました。

担任のかぐちゃんは教室に入ってくるなり

「今日は写生大会だ。

1日つぶしてぶっ通しで描いてもらう。

いいか、良い絵を描けよ。

それぞれの種族代表と思って描け!!

以上」

と言って教室の外へ出てしまった。

困ったのは私たちだ。

そんな話聞いていない。

いつもこうだ。

担任のかぐちゃんは大事なことは当日になってからしか言わない。

だから私たちは絵の具一式を取りに寮に戻った。


 学校に戻ってからが思案のしどころだ。

一応、いろんな人に聞いたところ移動は自由(但し、学校の敷地内なら)、何を書いても良いらしい。

(風景画なら)


 みすずちゃんとあきらちゃんの神族と魔族のカップルはプールに行くらしい。

プールと言えばみすずちゃんが起こした騒動が思い出されるが今はあのときの破壊衝動は起きないそうです。

ただ、誰もいないプールの風景を書きたいのだそうだ。


 人形属のことねちゃんときららちゃん、そしてすずちゃんは食堂に行くのだそう。

食堂は大食のすずちゃんのリクエストだそうだが、ことねちゃんときららちゃんは食事を必要としない種族。

一度も来たことのない食堂に興味があるのだそうだ。


 雷神のハニーとクラスメートで妖怪のまいちゃんとちわちゃんは聞いたこともない気象室に行くそう。

気象室とはその部屋の中であらゆる気象が体験できるのだそうです。

私も行きたいと懇願するとハニーは

「あそこは人間が耐えられる場所じゃないの」

と拒まれてしまった。

まいちゃんとちわちゃんは気象妖怪なので問題は無い。

(ちなみにまいちゃんは雪女、ちわちゃんは雨女です)

3人は私がハニーに知り合う前より仲良しの幼なじみです。


 その他にもいろんな人たちにどんなところに行くのかを聞いた。

みんな、いろんな考えがあるようでいろいろと興味深い。

さて私は何を描こうか。

そして何処へ行こうか。

そうだ、道場へ行こう。

うちの学校には道場がある。

しかも格闘訓練に使う本格的なモノ。

私は軍事訓練は免除されているからその道場に入ったことがない。

(この学校は軍事学校も兼ねています)

こんな機会が無いと行くことはないだろう。

そう思い私は道場へ向かった。


 結構遠かった。

何せ、学校から徒歩で1時間もかかる。

(私の足で)

みんなは徒歩5分ぐらいだと言っていたがやはり種族が違う。

人間の足だとかなり遠い。

こんな距離でも学校の敷地内なんだからこの学校はどんだけ広いんだと改めて思った。

私は職員室で借りてきた鍵を使い、道場の扉を開けた。

(もちろん許可済みです)

そこは広い畳の部屋だった。

私の感覚では100畳以上有りそうな雰囲気。

いや、100畳なんてモノじゃない。

よく見るとドーム球場ぐらいの広さと言っても支障が無いぐらいだ。

とにかくメチャクチャ広い。

私は慌てて外に出た。

と言うのも外観と中身が一致しないのだ。

外観は普通の平屋の一軒家。

とても大きな建物に見えない。

ていうかかなりみすぼらしい。

それが中に入るとメチャクチャ広い。

とにかく奥が見えないのだ。

どういった仕組みなのか。

そういえばかぐちゃんから鍵を借りる時に

「中に入って驚くなよ。

天使界の最高傑作技術の道場だからな。

人間の科学技術では理解できないだろう。

中に入った奴は必ず驚くからな」

と言っていた。

確かに私には理解できない。

そういえば空間収納技術が何たらと言っていた。

あまりの広さに圧巻だ。


 それにしても中を凄くするんだったら外見もどうにかして欲しかった。

この道場の外見はお世辞を言っても廃屋だ。

正直、入るのさえ勇気が要る。


 私はここでみんなが格闘訓練をしている風景を夢想した。

みんなが戦っている様子を。

道着を着てやっているのだろうか。

私はその様子を想像しながら一生懸命描いた。

もちろん全部想像だが。

そういえば光学生命体のあかりちゃんは全身からビームを出せるな。

人形属の人たちは剣術がかなり得意だったな。

神族や魔族の人たちの能力が凄かったな。

そう想像しながら1人で描き続けた。


 お昼はハニーの作ったお弁当を食べまた絵を描くのに戻った。

普段は私がお弁当を作るのだがイベントごとがある時は大体ハニーが作る。

それがまた美味しいのだ。


 大分絵が完成してきたところで私は畳の上に寝転がった。

畳がとても気持ちいい。

良いにおいもする。

そして私は前転、後転、横転といろんな方向に転がった。

誰もいないのでスカートを気にしないで。

そしてこれがみんながいる道場なんだとかみしめながら。


 絵は完成した。

また、1時間かけて教室に戻り絵を提出して今日の授業は終わった。


 非常に楽しい1日だった。

また、改めて1人の時間も楽しいモノだとかみしめた。


 寮に帰るとハニーが待っててくれた。

(同じ部屋だから当たり前だが)

私は今日の出来事を一生懸命話した。

ハニーも

「私の所もいろいろとあったんだから。

気象室と言うところはとても面白いところでいろんな風景を再現できるの。

そしてそこに雨を降らせたり雪を降らせたり、雨と雪の両方を降らせたり。

風景はバーチャルだけど雨と雪は本物だから結構寒かったわ。

それでもあの2人 (まいちゃんとちわちゃん)は結構はしゃいでいたわ。

それに面白い絵も描けたしね」


 私と同様、ハニーも今日は充実した日だったようだ。

私もハニーと今日の出来事を話し合うことで共有できとても嬉しかった。



 



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