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神族

 とある日曜の朝、私はいつものように早く起き朝食を作っていた。

もちろん朝食は2人分、ハニーの分も私が作る。

ちなみにハニーとは雷田らいた 静姫しずき、私の恋人でありルームメイトだ。

一応言っておくが私は女性である。

ていうか、ここは女子寮、男子禁制だ。

私はハニーを愛しているしハニーは私を愛している、つまりそう言う仲だ。

ちなみにハニーは私のことをダーリンと呼ぶ。

違和感があるかもしれないがそう呼ぶのだからしょうがない。


 新学期が始まってからいろいろなことがあった。

最近では土日も勉強会が続いていた。

こうやってハニーとゆっくり過ごせるのはいつぐらいだろうか。

平日も結構遅くまで補習がある。

(言っておくけど赤点補習ではなくさらなる上を行く補習だからね)

寮に帰れば即ベッドに直行、そんな日が続いていた。

最近ではハニーと話す機会もなかった。

ようやく会話できるのだ、そう思い料理にもひとしお腕によりがかかる。

早くハニーが起きてこないかワクワクもする。

しかし、時間の進みってこんなに遅かったっけ。

普段が忙しい分、今の時の流れがかなりゆっくりに感じる。


 「おはよう」

ハニーが起きてきて私に声をかけてきた。

「美味しそうなにおいね。

やっぱりダーリンは料理が上手ね。

最近、ダーリンの帰りが遅いから自分で自炊していたの。

朝も売店で買ったものを食べてたしね。

でもやっぱりダーリンには敵わない。

ダーリンの作る食事が1番美味しいわ。

私も同じ女子として見習わないとね」

結構な褒め言葉だ。

私は顔を赤らめながら食卓に料理を並べた。


 それからしばらくハニーとの団らんが始まった。

とても至福な時間だ。

でも私には聞かなければならないことがあった。

そして言わなければならないことも。

言わなければならないことは昼に来客があること。

そして聞かなければならないことはその娘と一緒にハニーにある話を聞かなければならないこと。

そう心の中にあったのだけど今の団らんが楽しすぎて気がつけば昼になっていた。


 コンコンとドアをたたく音がした。

ちょうど昼食を食べ終わった後だった。

私は約束通り彼女が来たのだと思いドアを開けた。

彼女とは火口ひぐち 暁空あきらちゃんだ。

あきらちゃんは部屋に入るなり

「よう、話は付けてくれたか?」

と声をかけてきた。

ハニーは

「なんの話?」

と私をにらみつけながら聞いてきた。

ハニーは私との2人に時間を邪魔されたと思いかなり不機嫌になっていた。

私は慌てて

「ごめんね、あきらちゃんが来ることを言い忘れていて。

でもあきらちゃんも重要な用事なの。

それは私にとっても重要なことなの。

金曜日、あきらちゃんから相談があったの。

神族の世界のことを知りたいって。

私も神族の世界のことを知りたいの。

いずれハニーと結婚(同性婚)して行く場所だから。

でも私たちは神族の世界を知らない。

だからこうやって二人して聞きに来たの」

ハニーは

「聞きに来たって。

だいたいダーリンはルームメイトだからいつでも聞けるし火口ひぐちさんは私よりも長い期間、神族の世界にいたはずなんだけど」

あきらちゃんは

「あたいは神族の世界にいたっと言っても雷田らいたさんとは違い下級神族の世界だし。

雷田らいたさんがいたのは上級神族の世界。

下級と上級の世界じゃ天と地ほどの差があるしあたいの知らないことも一杯ありそうだし」

ハニーは

「上級神族の世界と言っても私は落ちこぼれ。

この力もこの学校に入る直前に発現したものだしね。

まぁ、いいわ、確かに私のうちは上級神族の世界にある。

私の知っている範囲だけなら教えてあげても良いわ、上級神族の世界を。

でも上級だろうが下級だろうがあまり変わりは無いのだけど。

とりあえずハニーにも分かるように初級編ね。

火口ひぐちさんには分かりきった話だろうけどおさらいだと思って聞いてね。

まず神族は大別すると5つの属性に分けられるわ。

私は雷属性、火口ひぐちさんは炎属性のようにね。

まぁ、他にもいろいろな属性があるのだけど説明は省くわね。

そして神族の世界にもいろいろな言語がある。

本来、私と火口ひぐちさんの話す言語も違うの。

幼い頃、頑張って共通の言語を習得したからこうやって話せるのだけど。

そういえば人間の言語も必修だったわね。

だからダーリンとも話せられるのだけど。

神族の言語は属性によって地域によって違うの。

もちろん習慣も食べるものもよ。

これについてはおいおい教えるわ。

後、これが重要なんだけど神族の世界は夜がないから。

つまり日はいつまで経っても上がったまま。

でも神族だって寝なきゃいけないから決まった時間になったら寝るわ。

神族の世界に来るなら明るい状態でも寝る練習をしなきゃね。

私が人間の世界に来た時、初めて夜を知ってビックリしたわ。

だって周りが暗くなることなんて元いた世界ではなかったから」

あきらちゃんは

「それについては私も驚いたよ。

でもルームメイトのみすずは魔族で魔族の世界は夜の世界。

みすずはこんなに明るい世界は初めてだと言っていたよ。

みすずと初めて会ったのは神族と魔族の混じった世界。

お互い違う学校に通っていたけど神族と魔族の混じった世界も新鮮だった。

お互い知らなかった昼と夜を知れた。

知らない世界を知るって素晴らしいことなんだなと美鈴といつもはなしているよ」


 大事な話がいつの間にかあきらちゃんとみすずちゃんのノロケ話に変化していた。

あきらちゃんは私に親族の話を聞くきっかけを作ってくれたんだと思う。

あきらちゃんにとっては分かりきった話を頷きながら聞いてくれた。

事実あきらちゃんが話を聞くきっかけを作ってくれなかったら私はハニーに話を聞くことすら出来なかったと思う。

あきらちゃんには感謝だ。


 そういえば神族の世界も知らないことばかりだけど魔族の世界、天使属の世界も全く知らない。

今度休みの日にそういうこと友達を聞きに行こうと私は思った。



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