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お見舞い

 女の子には月に1回ある日が来ます。

重かったり軽かったりしますが女の子特有のあれです。

それは種族によっても程度のほどが違います。

私のハニーである雷田らいた 静姫しずきを含む神族や魔族は年に1回ほどしかなくハニー曰くとても苦しいのだそうです。

そういうときは自分の力を制御できず暴走してしまうので学校内の「制御室」と言うところで力を無理矢理押さえ込み泊まり込まなければなりません。

期間は一週間ほど。

私は去年、初めてそれを目撃し衝撃を受け、なおかつ寂しい思いをしました。


 今回はそんなお話です。

と言ってもハニーのお話ではありません。

私のあるクラスメートのお話です。

その人は液野えきの 慈恵ちかえ、私のクラスの委員長です。

委員長は月に1回、1日だけ必ず休みます。

私は女の子特有のあれがかなり重いのかなと思っていました。

でも考えてみれば委員長にそれがあるのか疑問です。

それはもちろん性別の問題ではありません。

委員長はれっきとした女の子だから。

ではなぜ私がそう思うのかというと種族の問題です。

彼女は液状生命体。

簡単に言うと液体が人間の形をしているようなもの、そう言う生命体です。

しかも生殖能力はありません。


 ではなぜ学校を休むのか。

液状生命体が病気になるといった例は存在しません。

これは担任のかぐちゃんに聞きました。

でもズル休みではないそう。

担任のかぐちゃんは良い勉強になるから1回お見舞いに行くと良いと言っていました。

渡さなきゃいけないプリントもあるし。

それで私は今、彼女の部屋の前にいます。

私はドアをノックし彼女に

「お加減は大丈夫かしら。

今日の授業のプリントを持ってきたのだけど」

と声をかけた。

そうすると中から

「ちょっと待ってて」

と声がし中から鍵を開ける音がした。

ドアが開くと彼女が中から顔を出した。


 その時私は何が起きているのか分からなかった。

確かに応対に出た人物は彼女の顔だった。

しかし、あまりの出来事に私は面を食らってしまった。

応対に出た人物と言うべきなのか、かなり小さな委員長が私の目の前にいた。

その小さい委員長の様子はと言うと体長は10センチぐらい、ガラス細工のように透明で色も付いていない状態。

体の後ろぐらい、ちょうど腰の辺りから管みたいなものが付いています。

その管はかなり長く先が見えません。

そして今、小さい委員長は私の目の前で宙に浮いた状態で話しかけてきます。

「担任の先生から話は聞いたわ。

いいからまずは上がって」

私が戸惑っていると小さい委員長は

「もしかして何も聞いてないの。

全くあの先生はいい加減なんだから。

いいわ、全部話すからとりあえず上がって」

そう言われると私は言われるがまま上がった。


 小さい委員長はテーブルの上に仁王立ちし

「まずは何から話そうかしら。

私は月に1回、人としての形を保てない日があるの。

いろいろと理由があるらしいんだけど、私たちは再生の日と呼んでいるわ。

そういうときはひたすら体を休めるの。

それにこのぐらいの大きさだったら人の形で行動できるしね。

ちなみに私に付いているこの管の先には行かないことをお奨めするわ。

そこには私の体の本体があるんだけど、今はやばいから。

その前に少し話さなければならないんだけど、それは私たち種族のこと。

私たち種族は世界で3人しかいないの。

女2人に男1人ね。

私とその他の2人は大分年が離れているの。

私はその人たちのことをママ、パパと呼んでいるわ。

世界では私たちの種族はたった3人、だから自分たちの種族のこともあまり知らないの。

それで話を戻すのだけど私たちは眠る時や極端に疲れた時は人の形を保てなくなるの。

普段バケツを持ち歩いているのはそのためなんだけど月に1回、起きた時に人の形を形成できな日があるの。

それの理由はよく分かってないわ。

そういうときは学校にも行けないから1人この部屋でゆっくりと過ごすことにしている。

この小さい体でも1人でいる分なんとかなるしね。

で、本体のことなんだけど、今本体はバーサーカーモード、簡単に言うと近づくもの全て攻撃してしまうと言うか」

そう言うと彼女は口ごもってしまった。

しばらくして

「つまり簡単に言うとあらゆるものを見境なく溶かしてしまうの。

今本体はそういうことが出来ないように簡易的に封印しているの。

それぐらいは自分で出来るし。

だから絶対に近づかないで!!

恥ずかしい話だけど今本体は自我を持たない怪物。

決して人に近づけてはいけない。

誰も傷つけたくはないから」

そう言うと彼女は申し訳なさげにお辞儀をした。


 ちなみに委員長は生まれてからこの方、このバーサーカーモードで人を傷つけたことはないそうです。

ご両親(育ての親)が液状生命体の研究者で特性をよく知っていたのでそういう事態にはならなかったそう。

委員長もそのことをよく分かっておりご両親にはとても感謝しているのだそうです。

 

 私はそれから今日あったことや授業の話を委員長にした。

委員長はとても楽しそうに私の話を聞いてくれた。

明日にはいつもの委員長が見れるのだそう。

早く教室で元気な委員長を見たいです。


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