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雨女

 「今日はうちの話を聞いて〜な」

そう彼女は話し始めた。


 彼女の名前は雨川(あめかわ) 千環(ちわ)、私のハニーの親友の1人だ。

私がいろんな種族の人と知り合いたいということを知り彼女が個人的に私の部屋に来た。

私もハニーのことをもっと知りたい。

そのためにはどういう人たちと友達なのか知る必要がある。

私は喜んで彼女を部屋に招き入れた。

そしてしばらくすると自分の身の上を話し始めたのだ。


 「うちはとある村で生まれたんや。

知っての通りうちは妖怪。

雨降り小僧という妖怪を知ってるか?

うちはそれの女版という訳や。

言うなれば雨降り娘と言った方が良いか。

うちの村では毎日雨が降ってる。

水成分がなければ生きていけないから。

だいたい湿度90パーセントぐらいが必要や。

でも生まれてこの方それが普通やったから普通とちゃうと知った時はショックやったわ。

ただそれではあんたらの世界に馴染むことが出来ひん。

うちら妖怪はあんたらの世界に馴染むよう薬を服用しているんや。

ルームメイトの雪女のまいかてそれを服用している。」

私は妖怪の人たちの意外な真実を知った。


 「いくら薬を服用してるかて寮に入れば寛ぎたい。

だから寮はお互いの特性に合わせた作りになっているんや。

人間の人にはかなり厳しい環境や。

まずうちの部屋は防水加工になっている。

なぜかというと床は常に水浸し、常に雨が降っている部屋になっているんや。

かといって水の中に住みたいわけやない。

床には一定程度しか水が貯まらないし、貯まった水は雨へと再利用されている。

エコな作りになっているんや。

しかも大事なものは濡れないようにしっかりと雨宿りするスペースを作っている。

学校の本もノートも一応は防水加工してるけど濡れへんようになってる」


 ここまで話すと次は同室の雪女のまいちゃんの話をし始めた

「同室言うても部屋が違うんや。

うちの部屋でもまず会うことはない。

それは仲が悪いんと違って生きてる環境の違いや。

まいは気温が高いと生きていけない。

うちみたいに雨の降る環境じゃ気温が高すぎるんや。

文字通り雪の降る環境でなければ。

うちはさすがにそんな気温の低い環境じゃ生きていけない。

まいの部屋もまるで冷凍庫にいるみたいに寒い。

うちは10分とていられない環境や」

同室なりの苦労があるようだ。


 「うちの能力は何処でも雨を降らすことが出来る能力や。

それが室内でもな。

ちなみにうちの部屋が雨降ってるのは能力ではなくそう言う仕組みを作ってもらったからやけど、うちがその気になればこの部屋を一杯の水を満たすぐらい1時間もあれば出来る。

まぁ、しないけど。

だいたいうちも呼吸できなくなる。

勘違いして欲しくないんはうちは水の中で呼吸できないと言うこと。

何ならカナヅチやし。

水属性の妖怪はみんな泳げるんと思うのは間違いや。

確かに親戚一同は泳げるけど、うちは泳げへん。

ただ水が必要なだけや」

意外な真実を知った。


 「ちなみにうちがあんたの恋人、雷田(らいた) 静姫(しずき)さんと友達なのも訳が有るんや」

ここで意外な話が出た。

「この国では雷はとても神聖なものや。

崇め立てられているぐらいに。

雷と雨、雷と雪は切っても切り離せないものや。

雷の後に雨が降るし、時期によっては雪が降る。

我々、気象に関する妖怪にとって雷神は雲の上の存在と同時に近しい存在。

雷神とは機会があれば仲良うなりたいのも必然のことや。

と言ってもうちらの仲はそんな理屈めいたものやない。

物心ついた頃から一緒に遊んどった。

うちらは雷田(らいた)さんのことをひめちゃんと呼んどるからここからはひめちゃんと呼ぶで。

とにかくうちらは仲良うかった。

何でも相談したしな。

でもビックリしたんはひめちゃんに好きな人が出来たという相談を受けた時や。

それが女の子でしかも人間や言うからかなりビックリしたんや。

同性だけでもハードルが高いのにしかも異種族。

うちらもさんざん悩んだんやけど応援することにした。

そしてあんたらがつきあうことになったんや。

まさか結婚を約束した仲にまでなっているとは分からんかったけどな」

聞いててちょっと恥ずかしくなった。


 「うちの話はこれで終わりや。

ぎょうさん話できた。

次はあんたの話を聞かせて」

そう言われると私はハニーとのなれそめ、この学校に入るまでの出来事などいろいろと話した。

そうそう、ハニーの学力のなさには苦労したことも。

これには、ちわちゃんも同意した。

「そうそう、ひめちゃんは勉強はまるでダメ。

うちらも教えるのに苦労したわ。

だいたいこの学校には入れたのだって奇跡だしね。

いや、たまちゃん(私)のおかげかな」

そう言いながら彼女は笑っていた。

私もつられて笑ってしまった。


 今日はいろんなことを知った。

何より妖怪の世界を少しは知れたような気がした。

そしてハニーのことも。

今日のこの時間は結構楽しく充実した時間だった。

そしてハニーが帰ってきたらもっとハニーと今日のことも含めて話したいと思った。


 




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