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バレンタイン

 今日は待ちに待ったバレンタイン。

恋人たちにとって記念すべき日だ。

私とハニーも毎年この日に愛を確かめ合っている。


 先日、クラスのみんなにバレンタインチョコの話をした。

驚くことに私と委員長、そして光学生命体のあかりちゃん以外のクラスのみんながバレンタインを知らないのだ。

私はみんなにこう説明した。

「いい、バレンタインというものは恋人同士が愛を確かめ合う究極のイベントなの。その日はこの国では女の子が好きな人にチョコを渡す習慣があるの。もちろん、友達同士で渡してもOK。片思いの人は両思いになるチャンス。そう、私たちにとってはとっても大事な日なの。」

話し終えると、周りから盛大な拍手が聞こえてきた。

どうやら、熱を帯びて演説しすぎたようだった。


 でも、いざチョコレートを作ろうという話になったときクラスの大半は冷ややかだった。

何しろ人間の文化に従う必要性を感じないと言う意見が大半だ。

私の呼びかけに応じたのは液状生命体の委員長、光学生命体のあかりちゃん、人形族のことねちゃん、魔族のみすずちゃんの4人だけだった。

委員長とあかりちゃんとことねちゃんは興味本位からだけどみすずちゃんは真剣そのもの。

何か、みすずちゃんは私たちと違う気迫が見える。

ことねちゃんは料理に初挑戦だ。

なぜ、チョコレート作りに挑戦するのかを聞いてみるとことねちゃんは

「私たちは食べ物に興味がありません。しかし、人間の文化には興味があります。そもそも私たちは人間がいてこそ成り立っている種族です。だから人間のすることに興味を持つのは当たり前のことなのです。」

ちなみに人形族は飲食をしないので、料理というものをしたことがない。

最終的には人形族と一緒に育ったり人間?のりかちゃんの胃袋に収まるがこういう形式にことねちゃんは憧れを持っていたのだそう。

そういった理由でことねちゃんは参加するのだそうだ。

対して魔族のみすずちゃんは神族のあきらちゃんに対する感情はラブラブそのもの。

それ以上の説明が出来ないほどのラブラブぶりだ。

普段もあきらちゃんの身の回りの世話は全てみすずちゃんがやっている。

甲斐甲斐しい奥さんぶりに圧巻だ。

ちなみに言い忘れていたがここは女子校だ。

全て女子校の中での出来事である。


 放課後、担任のかぐちゃんのご厚意で家庭科室を使わせてもらうことになった。

ありがたいことに材料も担任のかぐちゃんが用意してくれた。

私たちは相談して生チョコを作ることにした。

詳しいレシピは担任のかぐちゃんや世界のあらゆる情報と繋がっている光学生命体のあかりちゃんが随時教えてくれた。


 その中で料理初経験のことねちゃんはいろいろとまごついていた。

何しろ初体験である。

チョコレートが溶けるだけでものすごい慌てよう。

いつもの冷静なことねちゃんとは違い非常に新鮮に思う。

そして私が一番ビックリしたのがみすずちゃんだ。

みすずちゃんがあまりにも真剣なのだ。

そしていつもはおしとやかなみすずちゃんが話しかけるなオーラ全開なのだ。

近づくことすら怖くて出来なかった

委員長は普段から料理し慣れているのか非常に手際がいい。

にこにこしながら、鼻歌を歌いながら料理をしていた。

私も料理には自信があるので良い競争相手として腕を振るった。


 そしてチョコレートが出来上がった。

試食でみんなのも食べてみるとみんなそれぞれが非常に美味しい。

(もちろん同じものを作っているのだが)

今日は非常に有意義な時間を送れたと思う。


 私は寮に帰るとハニーに真っ先に今日の出来事を話した。

チョコレートはもちろん、バレンタインに渡すのだが私たちにとっては毎年の恒例行事。

別に秘密にすることはない。

それにハニーは私のチョコレートを毎年楽しみにしてくれている。


 そして今日、バレンタイン当日。

私たちはまずクラス全員にチョコレートを配った。

クラスの人たちは非常に喜んでくれた。

そして、もちろん寮に帰るとハニーにクラスのみんなとは違う特製の豪華なチョコをあげた。

ハニーはもちろんものすごく喜んでくれた。

そして来年も同じことをしたいと思った。


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