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相談

 もうすぐ夏休みとなるこの日、珍しく私の部屋にあきらちゃんがやって来た。

同室のハニーには聞かれたくないようで、ハニーには部屋から出てってもらい私とあきらちゃんの一対一での対面となった。

私はそそくさと部屋の中に招き入れた。

そして、あきらちゃんは私の部屋に訪れたことをルームメイトのみすずちゃんには絶対に知らせないように強く言ってから話し始めた。

「このことは絶対に誰にも話すなよ。約束だよ。相談ってのはあたいとみすずのことなんだ。どうにかしてこの夏休みを期にみすずの仲を良くしたいって言うか、一線を越えたいというか、とにかくアドバイスをくれないか。」

私は意外な相談だなと思った。

と言うのもいつもあきらちゃんとみすずちゃんはイチャイチャしているようにしか見えないからだ。

そう意外に思っているとあきらちゃんはさらに意外なことを言い出した。

「あたいたちはこう見えてキスもしたこともないし、さらに言えば、手もつないだこともないから。」

意外な話である。

今日日、恋人同士でなくても親しい女の子同士でも手をつなぐことは当たり前だからだ。

まるで中学生男子から相談を受けているみたいだ。(イメージ)

と思っているとあきらちゃんがこう話を続けた。

「あたい、こう見えても心は男だからさ。確かに生まれたときから体は女だけど、なんて言うか女の子の扱い方というものが分からないんだよね。女として生きていこうと心に決めたのもみすずに出会ってからだし。失礼だけどこういうことを相談できるのは同じ女の子とつきあっているたまき(私)ぐらいにしか出来ないのさ。」

そう聞いて、私は不思議に思った。

うちの学校は女子校で実は女の子同士のカップルはたくさんいる。

その中でなぜ私を相談相手に選んだのか。

さらに言えば同じ神族であるハニーにはなぜ相談できないのか。

そう思っているとあきらちゃんはさらに話を続けた。

「確かに女であるたまき(私)があたいの悩みを理解できるとは思えない。でも、共感できる部分もあると思うんだ。それは交際相手が種族の違う高位の能力者だからだ。あたいはこう見えて、低位の神族。みすずは高位の魔族。たまきの交際相手は高位の神族。たまきはただの人間。種族の違いをどう乗り越えているのかを聞きたいんだ。」

そう言い終わると私はこう話し始めた。

「え〜、意外だなキスはおろか手もつないだこともないなんて。私は二人の仲はもっと先まで進んでいるものだと思っていたもの。私だってそのぐらい済んでいるのに。」

こう言うとあきらちゃんは

「これでもみすず以外の女の子と話をすること自体緊張するんだ。でもみすずとの仲を進展するために勇気を持ってここに来ているんだ。」

と言った。

確かにあきらちゃんの顔はいつになく真剣だ。

私は話を続けた。

「それに種族の違いって言うけど私は告白された側だし。」

と言うと、あきらちゃんは意外そうにこう言った。

「え!?高位の神族が何の能力も持たない人間に告白なんてするの?そんな話聞いてこともない。あ、別に悪い意味じゃないから。だから、そんなにムッとしないで。」

悪気はないのは分かっているけど何となく気分が悪い。

私はわざとムッとした顔で話を続けた。

「それに種族の違い、能力の違いって言うけど、要は心が通じ合っているかどうかでしょ。心が通じ合っていれば、手もつなげるしキスも出来るはずよ。」

と言うとあきらちゃんは

「でも、いきなり抱きしめるとみすずが興奮して能力が暴走するかも知れないし。」

と言った。

私は

「何で急に抱きしめる必要性があるのよ。そういうことは話し合って決めれば良いのよ。それにみすずちゃんは今、能力の暴走を押さえるため、放課後担任のかぐちゃんと訓練をしているから安心して。今度の臨海学校でプール開きのようなことは二度と起こさないってかぐちゃんは言っていたから。」

そう言うと、あきらちゃんはほっとした顔になり

「な〜んだ。最近一緒に帰ってくれないのはそのためか。あたいは嫌われたのかと思っていた。」

あきらちゃんはどうやら一緒に帰ってくれないみすずちゃんに対して焦りを感じていたようだ。

そんな彼女に私はこう忠告した。

「でも、これに安心して何にも進展しなかったらただのヘタレだからね。二学期が始まる前にせめて。手は繋ごうね。」

そう言うと、あきらちゃんは「え〜!!」と言い、困った顔をしていた。





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