涙の水たまり
パシャン…と音がした方を見ると、自分の足元が水たまりになっていた。
私、そんなに泣いていたんだ…と野崎 春奈は思った。
こんなに泣いたのは、久し振りだったから自分でも戸惑ってしまう。
理由は、何だろう…?
実際には、理由なんてないのかもしれない…とも思う。
だけど、最近は忙しくて何も考えられなかった。
自分は、いつの間にか悲しい事も忘れてしまっていたのだろう。
その夜、夢を見た。
私は、泣いていて水たまりが出来ていた。
その水たまりは、大きくなっていき…私を飲み込もうとする。
私は、泳げないからもがく事しか出来ない。
そんな時、手を差し伸べてくれた人がいた。
『こっちへ…』
「あ…ありが…とう。」
私は、必死にその人の手を掴んだ…という所で目を覚ました。
目を覚ました私の顔は、濡れていた。
夢の中の人は、一体誰だったのだろう…と考えるけど分からなかった。
今日もまた、忙しい一日が始まる…と思うと、気分は暗くなったが、夢の中の人のお陰で頑張ろうと思ったのだった。