7 教師たちの本音
「まずわれわれ教師がやるべきことは、一人ひとりは全く違うんだと認めることでしょう」「でも頭で分かっていても、すごく難しいんですよね…」
昨年10月20日、LD(学習障害)親の会主催の「先生語ろう会」が開かれた。会場の長崎大学医療短期大学部には、県内各地から教師21人が集まった。
「そりゃクラスから不登校が出たら、自分の教育不行き届きと思われるんじゃないかって心配したこともありましたよ」。戸惑いを含めた、今の本音を男性教員が語り出した。
「でも、工夫して教えればきちんと理解できるんです。具体的に伝えれば」。耳からの情報処理が苦手な子供も、実物や絵などを用いることで簡単に理解できる場合が多い。
「そして何より、親や専門家と密に連絡を取り合うことが大切ではないでしょうか」。会場から大きくうなずく声が聞かれた。日本ではなじみがないが、アメリカでは10%の児童が専門家らの立てた個別計画に沿って教育を受けている。実際に、小児科医や作業療法士らの助言を参考に指導を行っている教師もいた。
意見交換は1時間半にも及んだ。最後に出た「学校の体制面での問題は」との問い掛けには、「とにかく人手が足りない」という声が相次いだ。これには2人以上の教師が共同で授業を行う「ティーム・ティーチング(TT)」の回数増加で暫定的に対応できるのではという意見が挙がった。そして会の終了後も、個人的に熱心に話し合いを続ける姿が会場のあちこちで見られた。
LD児への支援としては「通級学級」がよく利用されている。これは、普通学級に在籍しながら、週の何時間かを特殊学級で過ごす制度である。県内では特殊学級に在籍しているLD児もいる。
しかし障害の重度な子供に手を取られがちという実情もあり、親の間から困惑の声も上がっている。このように、LD児は健常者と障害者のはざまに置かれ、適切な社会援助を受けられていないのが現状のようだ。