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3 診断後の結果






 「息子さんは多動傾向を併せ持つ、『学習障害(LD)』の可能性があります」。



 検査の後、典子は療育指導センターの担当医からこう告げられた。「ショックでした。でも、これまでずっと変だ変だと思ってきたことの答えが見つかって、かえって納得したというのが実感です。ただそのときは障害があると分かっただけで、LDが何なのかも知りませんでした」

 


LDは学習面でのつまずきから表面化するため、陽太のように就学前からLDと診断されるケースは少ない。また就学後の検査で知らされることだが、陽太は「空間の認知」に困難があった。



空間認知とは、物の位置関係をとらえる能力のことである。この能力に問題があると、物の前後左右が正しく把握できない。そのため鏡文字を書いたり、よく似た文字を読み間違うなどの問題が生じる。これは脳神経系に障害があるため、目からの情報がうまく処理できないためとされている。

 


 また空間認知の問題と関係して、周囲の中における自分の位置関係を理解できない子供もいる。これらの子供はその場の雰囲気が分からず、そぐわない対応をしてしまう。そのため対人関係にトラブルを抱えてしまうケースが多い。ほかにも聴覚認知に困難があるため、似た音を聞き誤ったり、音声言語だけの指示が分かりにくい子供もいる。

 


 このようにLD児は、学習面での困難だけではなく、原因によって幅広い問題を抱えている。またLDを原因とした、自信喪失やいじめなどの二次障害に苦しんでいる子供も多い。

 


 多動傾向を併せ持つ、LD児との診断を受けた陽太。しかし、療育センターの相談対象は、就学時前の児童に限られている。そのため小学校入学を目の前に控えた陽太には、ケアを受ける時間がなかった。そして、典子は不安を抱えたまま入学式の日を迎えることになった。





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