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初めて書いたので色々と分からないことがありますが、暖かい目で見てください。

 

 思い出した。

 夜会にいくためのドレスを選んでいる中。黒いスレンダーラインのシンプルなドレスが目に入った瞬間。

 この世界が前世にプレイした乙女ゲームだということを、突然、ダムが崩壊するかのように頭に記憶がなだれ込んでくる。


「なに、これ……」


 いきなりなだれ込んできた記憶に私は混乱する。

 前世? 乙女ゲーム?


「どうなさいました?クロエお嬢様」


 私の侍女のミラが声をかけてくるが、頭が痛くて今にも倒れそうだ。

 立っているのも辛くなり、私は膝から崩れ落ちる。


「クロエお嬢様!? 誰か! 誰か来てください!」


 ミラの悲痛な声を最後に私は気を失った。




*****


 


 目が覚めると私はベットの上にいた。

 

 時間が経って頭痛もなくなっていたのでなだれ込んできた記憶を整理することにする。

 

 前世の自分と言っても、普通の女子高生で乙女ゲームばっかりやっていて、階段から落ちて呆気なく死亡という薄っぺらい人生だ。


 問題は、前世の自分がやっていた乙女ゲームというやつだ。


 この世界に生まれて17年間の知識と、乙女ゲームの世界を照らし合わせてみると、どうやらこの世界は、乙女ゲームの世界のようだった。


 こんなことをすんなりと受け入れることが出来るのは、前世に読んでいた小説で似たような物があったからだと思う。それに、乙女ゲームの世界とこの世界がとても酷似していたからだ。


 乙女ゲームの内容は、異世界から聖女として、召喚されたヒロインがこの国の王子と恋に落ちるというものだ。


 ヒロインの名前は、プレイヤーが決められるので分からないが、王子の名前は、アレクシス・ガルシア、この国の王子であり、私の婚約者だ。


 ゲームの方でも私、公爵家のクロエ・ホーバットは王子の婚約者として出てくる。クロエは、悪役令嬢というやつで、ヒロインが王子に関わる度に暴力や嫌がらせを行う奴だ。そして、ヒロインと王子が両思いになったとき、王子から婚約破棄を言い渡され、辺境にとばされてしまう。


 近いうちに聖女を召喚すると城の方で言っていたので時期的にもタイミングがピッタリだ。登場人物の名前や特徴も同じなのでこの世界は、乙女ゲームの世界と思っていいだろう。


 そこまで頭を整理して、ベットから降りる。部屋に置いてある姿見で自分の姿をみる。

 腰まで延びている空色の髪に同色の目、透き通るような白い肌。10人中全員が美しいと言うであろう美貌。

 乙女ゲームのクロエと同じだ。これに黒いスレンダーラインのドレスを着たら完璧だと思う。──記憶を思い出したのはドレスが原因か。


 そんなことを考えていると誰かがドアをノックしてきた。


「どうぞ」


 部屋に入ってきたのは、私のお母様でこの国の公爵夫人のクロナ・ホーバットだった。


「クロエちゃん、調子はどう?」


「もう大丈夫です。心配をお掛けしました」


 どうでもいいが、お母様は私のことをクロエちゃんとよんでいる。

 お母様は、礼儀などを欠かしたり、いけないことをしたりすると、とても怖いが普段は優しく家族想いだ。今思うと、私が高飛車にならず、礼儀正しく成長出来たのはお母様のおかげだと思う。


「昨日は驚いたわ。いきなり倒れたんですってね。どこか痛いところはない? ミラもすごく心配していたわ」


 本当に心配そうにお母様は私の顔を覗いている。

 ミラにも心配を掛けたみたいだから、後で謝っておこう。


「本当に大丈夫ですよ。この通り元気いっぱいです」


 私は、そう言って力こぶをつくるポーズをとる。


「本当に大丈夫そうね。昨日、いきなり夜会を休んだから殿下も心配していたわ」


 殿下と聞いて私の顔は強張った。


「どうしたの?」

「あ、いや、その……」

「殿下と何かあった?」


 ここは乙女ゲームの世界で殿下と聖女が恋に落ちるんです。なんて言える分けがない! 頭が可笑しくなったんじゃないかと思われる。でも、すごく心配そうに聞いてくるお母様に隠し事はしたくない……話してみようかな、不思議とお母様なら信じてくれる気がした。


 記憶のことを話し出すと最初はすごく驚いていたけど、だんだんと真面目な顔になっていった。


「そう、話してくれてありがとね……。それで、クロエちゃんは殿下が聖女様のこと好きになったらどうするの?」


 ──私は、殿下のことが好きだった。それも10歳のとき初めて会ったときからずっとだ。でも、前世の記憶を思い出した今、私を捨てて他の女のところに行く奴を愛することが出来るのか? まだ分からない。だから応援はしないけど、邪魔もしない。そういう心構えでいることする。


 そのことをお母様に伝えると、どこか困ったように優しく微笑んでいた。


「素直に好きですっていえば良いのに……」


 そんなことを伝えても殿下は困るだけだと私は、心の中で思った。


一週間に一話を目標に頑張ります。

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