喧嘩の理由
「これでよしっと。」
「んー、あんがと恭ちゃん。」
「恭ちゃん言うな!どういたしまして。ほれ、帰んぞ龍。」
「うん。帰るかー。」
恭は鞄に治療道具一式を片付けて、龍に鞄を投げる。
龍も難なく自分の鞄をキャッチしてぐっと伸びを一つ。
夕日が龍の頬に貼られたシップを赤く染め上げている。
「…はぁ。龍、何があった。」
「ん?別にー?いつも通り喧嘩してただけ。」
「何年幼馴染やってると思ってんだ馬鹿。」
恭が軽く頭を叩くと龍はようやく息を吐き出した。
「はぁー…。やっぱ恭ちゃん鈍いんだか鋭いんだか…。」
「で?」
空を仰ぐ龍を見もせずに恭は先を促す。
「んー、今日はさ、いじめられてた奴がいたからついつい手を出しちゃってさ。」
「うん。」
「もちろん俺が勝って『これから手を出すな』って言ったから多分あいつは大丈夫だろうけどさ。」
「うん。」
「すっごい怯えた目で俺のこと見てたから、あー俺何やってんだろうって。」
「…はぁ。」
自虐的な笑みを浮かべる龍に対して恭は溜息を溢す。
「やっぱ忘れて。何でもないし。」
「龍お前馬鹿か。」
「はは、やっぱそうだよね。暴力でイジメを止めたって「違う。」…恭ちゃん?」
足を止めた恭に釣られて龍の足も自然に止まる。
珍しく龍を見る恭の目は真剣で、龍は少し目線を下げる。
「お前はいじめられてる奴を見捨てられなかったんだろ?」
「や、まぁそうだけど…。」
「で、そいつは今後多分いじめられないし、今日のところはまず無いんだろ?」
「うん。」
大人しく頷く龍を見て、恭は口元を緩めた。
「なら、龍のやった事は正しいんだろ。」
「でも!」
「“でも”も“だって”もねぇ。お前は結果的に助けた。それで十分だろ。」
「…うん、でも…そだね。」
「龍、よく頑張りました。」
すんません、爆睡してました…。




