少女漫画日和
「うっわー、やっちゃってるよー。」
後ろから聞こえる声が気になって龍は振り返る。
すると、目に飛び込んできたのは『シュシュ』の文字と可愛らしい女の子とイケメンが飾る表紙。
「…え?」
見紛う事なく、少女漫画である。
しかも、サイズ感的に本誌。
思わず龍はフリーズ。
「ん?んだよ龍?」
視線を感じたのかチラリと顔を上げた恭。
「え?いや、恭ちゃんそれってもしかしなくても少女漫画?」
「お前の目は節穴か龍。これがシュシュ以外の何に見えるって言うんだ?」
「いや、節穴じゃねーけど!見えてるけど!何で学校で堂々と漫画読んでるのさ!しかも本誌か!」
「龍、ビタークリームの内容が入って来ないから静かにしてろ。」
「すっげー理不尽!」
何やら真剣に読み始めた恭の手元を覗き込もうとした矢先に恭の手によって本誌が閉じられた。
「あ、終わったの?」
「…なぁ龍。何故少女漫画に出てくるキャラクターにはテンプレがあるんだ?」
「話し掛けてくれたと思ったら質問だと?!」
「山吹先生の描くキャラクターは大好きだ。愛していると言っても過言ではない。その山吹先生が新キャラのドSで俺様な恋敵を出してきた回に限ってみるく先生の山の上の恋愛論に出てきた新キャラと被るってどういうことだよ。何でテンプレキャラは被るんだ!テンプレだからか!そうなのか?!」
「ちょっ?!一人で暴走して完結すんなよ!」
唐突に語り始めた恭。
完全にこれは止まらないと龍は判断を下し、聞き役へと回る。ちなみにこの間約0.3秒である。
「えーっと、んじゃ恭ちゃんはどんなキャラなら良いと思うのさ?」
「俺か?」
「うん。」
「んー…俺なら被らせないな、うん。まず主人公は眼鏡をかけていてー…」
「うんうん、」
「イケメンドSで…」
「うん、」
「眼鏡を外したら3の目になるやつだ。」
「それキャラは被らないけど絶対流行らないよ!!」