後日談―木下家にて―
木下家、恭ちゃんの家です。
「はいよ、おかわりね。ご飯入れたてで熱いから気をつけな…」
「あっつ!」
「………話聞けよ。」
呆れ顔で眺める咲と、お約束通り顔をしかめている恭。
「で、今日はあの後どうだったの?」
「んー、あ、うめぇ。」
「はぁ…あんた本当に話聞かないわね。」
二人だけの夕食がまったりと進んでいく。
「そういや父さんと母さんは?」
「今日はご飯要らないってー。ちなみに母さん今イタリアよ?」
「え、マジか…あ、おかわり。」
「はいはい。」
咲はきちんとお箸を揃えて席を立つ。
「あ、姉貴「お姉ちゃん」…姉ちゃん」
「何?」
お茶碗を片手にカウンターから咲が顔を覗かせる。
「見てよこれ」
「んー?」
ドヤ顔でスマホを見せる恭。
咲がお茶碗を置きつつ恭の手元を覗き込む。
その画面には玉入れと棒倒しの様子が写った写真。
「あら、思ったより頑張ってるじゃない。」
ガシガシと恭の頭を満足そうに撫でた咲は再び席につく。
「んあ、そそ、姉ちゃん」
「今度は何?あんたいい加減自分でご飯くらい…」
「いや、そうじゃなくて」
「じゃあ何なのよ?」
苛立たし気に問い直す咲の額にはうっすらと青筋が見える。
「帰り翔さんに送ってもらった。」
「………え?は?はぁぁぁっ?!」
木下家の夜はまだ長い。