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帰り道
「恭ちゃーん、頼むから歩いてよー」
「………うう…しいたけ来んなって…」
「ちょいちょい思ってたけどどんな夢?!」
結局あのまま眠りこけた恭を半分引きずる形で龍は帰宅していた。
「起きなさすぎるっ!!」
とりあえず荷物は自分で持っているから良いとしても、如何せん、自分とほぼ同じ身長の男一人を抱えて帰るほどの力を龍は持ち合わせてはいない。
「ぬうー…。どうしよう…」
道路で立ち往生なんてのはいただけない。
頭を悩ませる龍の横に一台の車が止まった。
「よーっす龍。もう終わったの?」
「ぬうー…って翔兄!あんさーあんさー!」
「いいよ。あちゃー、やっぱ恭寝ちゃってたかー。さぁ乗った乗った!」
弟の言わんとすることを的確に汲み取った翔は後ろの席を指した。