玉入れ
「よーい、どんっ!」
掛け声と共に皆が一斉に紅白それぞれの玉に向かって走り出す。
「っしゃぁ!俺かぐっさんの所に集めろ!絶対全部決めるから!」
「「「おおっ!」」」
「「「任せて龍くん!」」」
赤組からはやる気満々といった感じの声が上がる。
もちろん中心となっているのは龍。背の高いメンバーと運動神経の良いメンバーへと手際よく他のメンバーが球を集めていく。
一方白組はというと、
「恭さ…くんのためにも頑張るわよ!」
「「「はいっ!」」」
「いっつもゲームとか助けて貰ってんだろ?」
「「「おうっ!」」」
「ずっと話聞いてもらってんだろ?」
「「「おう!」」」
「だったら今度は俺たちが恭を支えろーっ!」
「「「おおーっ!」」」
良くも悪くも恭を中心にまとまっていた。
体格がどうのなどは関係ない。
女子も男子も戦略なんてお構い無しに投げて投げて投げまくる。
「終了ーっ!」
そんなこんなで結果、3回やって両者1勝1敗1引き分け。
大接戦を繰り広げた玉入れは幕を閉じたわけだが、さて、一体恭がその間何をしていたのか。
「あー疲れた。」
「つっかれたあー!ってか恭ちゃん何かしてたっけ?」
「うん、してた。あ、そういやさっき何か女子から送られてきた写真あるわ。」
「どれどれ?」
ポケットから取り出し、手早く操作した恭が開いたスマホのデータに写っているものは、
『しゃがんでいる恭』
『球を拾ってみる恭』
『球を眺める恭』
『ポイと投げてみた恭』
「ふっ。」
ドヤ顔で恭はスマホをポケットへとしまう。
「いや、いやいやいや恭ちゃん!何もやってないに等しいよこれ!何でそんなドヤ顔?!」
「この一連の動作をしっかりやった。しかも球は全部入った。一試合で一つずつ。」
「え、ちょっと待って2分くらいかけてこれやってたの?!」