リレー
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「いけーっ!赤組ーっ!」
「白!白!コーナーっ!」
声援の飛び交うトラックの周り。
そんな中引きつった笑みを浮かべているのは重里に引きずられるままついてきていた恭。
「は?え?………これ何?」
「シゲーっ!お前次だ馬鹿!」
「わりーっ!今行く!恭、アンカーよろしく!」
「はぁ?」
ピキリと恭の額に青筋が走るも、既に重里は走り去った後。
この苛立ちを誰かにぶつけたくとも、生憎そんな恭の様子を見た男子達は蜘蛛の子を散らす様に去っていき、残念ながら周りに当たれそうな人物は居ない。
「…………はぁ。」
そんな様子を見てとった仕方ないと恭はため息を一つ。
「………これどういうこと?」
なるべくにこやかに近くにいた女子に尋ねると、顔を赤らめつつ詳しく説明してくれる。
結論だけ述べるなら、どうもリレー出場予定だった人が足を折ったらしい。
それでピンチヒッターとして恭に白羽の矢が立ったわけだ。
「ふーん………。あ、どうも。」
「いえいえっ!恭さ…くんに教えるなんて光栄な事!こちらこそありがとうございました!!」
完全に興味を無くした恭が苛立ちのまま突っ立っていると、何時の間にやらもう最終走者に番が回ってくる。
「「「恭!頼む走ってくれ!後で何でも奢るから!!」」」
走り終えて戻ってきた白組の男子達が一斉に恭に頭を下げた。
「何でもいいのか?」
「「「もち!!!」」」
「俺、走りたくねーんだけど。」
「そこをなんとか!」
「ガリゴリくんやるよ!」
「オレンジジュースつける!」
尚も勢いよく言い募る男子達をじっと見て恭は少し考え込む。
出来ることなら動きたくはない。
さて、どうしたものか。
「………………行ってくる。」
物に吊られた恭はトラックへと踵を返した。