騎馬戦
長めになってしまいました…。
次は気を付けよう。うん。
「あっ!次俺騎馬戦だー!行ってくるね恭ちゃん!」
「あーはいはい。とっとと散れ。」
「酷っ!」
ドタバタと去っていく龍を見送った恭は、久しぶりに静かな空間に身を置くことになる。
「おお、静かだ…。」
妙に感動しつつのんびりとジュースを飲んでいたが、ズゾゾという音が響き、紙パックの中身が無くなったことに気づく。
「げ、日射しキツいのに…。はぁ、買いに行くか。」
重い腰を上げ、恭は龍が去っていった方向とは真逆の方向へと足を進める。
「ねぇ、今の人見た?」
「見た!超イケメンだったよね?誰のお兄さんかな?」
「彼女とか居るのかなー?」
いつも以上に騒がしい女子の声。
「ヤベェ!モデルみたいな女の人いた!」
「俺も見た見た!超スタイル良かったよな!あんな姉が居たらなー。俺の姉貴何かマジゴリラ。」
「お前殺されるぞー。その姉貴に。」
「うわぁ、笑えない冗談止めろよ!」
妙にハイテンションな男子達。
そんな事には気も止めず、間を抜けて歩いていると、不意に頭に何かが降り下ろされた。
「いったぁ!誰だよ!」
抗議のために振り返った恭の表情が一気に凍りついた。
「恭ー?あんた競技はどうしたのー?」
「ね、姉ちゃん………。」
そこには降り下ろしたと思われる日傘を持ち、サングラスを上に上げた姉こと咲の姿。
「あーもう咲!何でどっか行っちゃうのさ?ってあれ?恭じゃないか!お久しぶりー」
「わぁ!翔さん!来てくれたんですか!!」
咲の後ろから現れた龍の兄こと翔の姿を見て、恭の凍りついた表情が緩む。
「可愛い弟たちの勇姿を見にね。ところで恭は騎馬戦出ないの?」
「あ、俺出ません。」
和やかに恭と翔が会話をしていると、痺れを切らしたのか、咲が会話に割り込んでくる。
「こんのサボり魔恭。せめて龍の応援に行くわよ!」
「うえっ?!姉ちゃん、でも俺今からジュース買いに…」
「え?何か言った?」
「何でもナイデス…。」
目が笑っていない笑顔を向けられた恭は片言で返事を返す。
「行くわよ恭ーって翔!くっついて来ないで!歩きにくいのよ!」
「えー?大丈夫大丈夫ー俺がエスコートしてあげるし。」
「はぁ?そんなことを求めてるんじゃないわよ!!」
一気に騒がしくなった自分の周りを見、咲に手首を掴まれて引きずられている今の自分の状況を確認して、恭は呟いた。
「さっきのは嵐の前の静けさだったのか…。」




