リザルト
「はっ…はっ……はぁ……ふぅ………。」
「はぁ……はぁ……。」
「走り終えた人は着順に並んでください!着順に旗の下に並んでください!」
係の子が声を張り上げているので、重たい身体を引きずって二人は並びに向かう。
「はぁ…はー久しぶりに走るとキツいや…。あ、ねぇ恭ちゃん。」
「ふぅー。何、龍?」
疑問を呈する恭に、龍は疲れも忘れて声を上げる。
「何でそんなに速いの?!さっきまで死にかけてたよね?!」
1と書かれた旗の隣に立って、小さく恭はVサイン。少し笑っているのだが、目元にある隈のせいで、表情は悪役のそれである。
「いやいやいや!Vじゃなくて!」
「勝った。」
「うん、俺負けた。負けたよ?負けたけどね?!だから何で瀕死の恭ちゃんがやる気満々だった俺に勝ったの?!しかも余裕で!」
「龍、お前バカか?いや、バカだな。」
「反語で断定?!」
「おぉ、よく反語なんか知ってたな。勉強の成果だな。」
「いや、反応するポイント違げぇよ!」
思わずつっこむ龍と、どこかずれた反応を返す恭。
息も整ってきて、ようやくいつも通りの会話がなされる。
「あー、で、勝った理由だっけ?」
「うん、そう!それが知りたい!」
「眠かったから。」
「………はい?」
「だから眠かったから一刻も早くゴールして寝ようと思ってな。てなわけでおやすみ。」
言いたいことを言い終えたのか、恭はポールに凭れるや否や爆睡。
こうなると、恭はちょっとやそっとの事では起きないということを龍は熟知している。
「…恭ちゃんの眠気に負けた俺って………。」
灰になった龍は2の旗の下にしゃがみこんだ。