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読書
「恭ちゃんって割と本を持ち歩いてるよねー。」
「まぁな。龍も本を読めばいい。国語の成績お前大したこと無いしな。」
「ダメっ!恭ちゃんそれ以上傷口を抉らないで!」
「どこの誰が折角テスト前に教えてやった教科書の範囲を見なかったんだかなー。これは期末が楽しみだなー。」
「嫌ぁぁぁぁ!!聞こえない聞こえない聞こえない聞こえない聞こえないーっ!」
「るせぇ龍!」
「何か理不尽!」
いつも通りギャーギャーと龍が騒ぎ、恭が淡々と返事を返す。
「そいや、今は何の本読んでるのー?」
「あぁ、今日は羅生門。」
そう言って恭がブックカバーを外してみせる。
「えーっと、あれか!あの夜中に婆さんが剥ぎ取ってんの見て一回キレたけど考え直して男が着物GETした的な内容の本!」
「すごいザックリとまとめたな。いや、まぁ内容は強ち間違っては無いけれども。」
「書いたんって誰だっけ?一万円の人?」
「それは福沢諭吉なー。全然違うから。これを書いたのは芥川龍之介。」
「あぁ!自殺した人か!」
「お前のまとめ方と覚え方は嫌いじゃないけど本を読め。」