噂
「眠い。」
こういう日は龍をかわしてさっさと帰るに限る。でもまぁ、そう上手くはいかないわけで。
「てめぇか?あの龍の野郎の幼馴染ってのは。」
「マジで噂通りの細身の奴だなオイ。一発でイくんじゃねーの?色んな意味で?」
ゲラゲラと笑う声が耳障りだ。
「ちっ。」
思わず小さく舌打ちを一つ。
「おいお前、誰に向かって舌打ちしてんだよあぁ?」
「あぁ?お前らこそ誰に絡んできてんだよ?」
「はいー?どうしちゃったんでちゅかー?怖いんでちゅかー?ってな、ギャハハハハハ!」
「ヒィーっ、今のは最高だわお前!ブハハハハハ!」
苛立ちが募る。
「あー、もう限界。やっぱ無理だわ。俺も龍の事言えねぇな。てめーら誰に向かって喧嘩売ってんだって聞いてんだけど?」
「あれー?俺の耳がおかしいのかな?喧嘩売ってんのかとか聞かれたんだけど?」
「ぷっ、こいつ馬鹿なんじゃねーの?」
「はぁ…てめーらが誰に向かって喧嘩売ったのか思い知らせてやるよ。」
「この人数に対して虚勢か?」
「笑顔とか随分余裕じゃねぇか優男。」
絡んできていた空気が一気に張りつめる。
「誰が優男だって?」
「やっちまえ!」
持っていた鞄を恭が投げ捨てるなり、均衡が崩れた。
数分後、地面と仲良くなった男の一人の顔を掴んで上へと上げさせる。
「おいお前、この事言ったらどうなるか………な?」
無言で頷く男達を一瞥。軽く確認を済ませて立ち上がる。勿論、立ち上がったのはただ一人。
「はぁ、疲れた…早く帰って寝よ。」




