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第7話:王子様、その愛の詩よりも、美味しいカレーをいただけますか?


王宮の大広間では、煌びやかな夜会が開かれていました。

ピンク色のお花のワンピースに、ロンさんが無理やり着せた「鉄壁の毛皮のマント」を羽織った私は、注目の的です。

そこへ、金髪をテカテカに光らせた王子様が、バラを一輪持って近寄ってきました。

「おお、麗しのジャンヌ殿! 竜を従えし強き乙女よ。君の瞳はサファイアよりも……」

「あら、こんにちは。王子様、そのお花、とっても美味しそうな色ですねぇ」

私がニコニコと挨拶すると、背後に控えていたロンさんとアオ君の眉間が、同時に「ピキッ」と鳴りました。

「おい、人間。ジャンヌの瞳を宝石ごときに例えるな。失礼だろうが」

「そうだぜ。つーか、そのバラ邪魔だ。燃やすぞ?」

二人が放つ凄まじい「竜の威圧感」に、王子様の膝がガクガクと震え始めます。しかし、王子様も諦めません。

「くっ、恐ろしい騎士たちだ……。だがジャンヌ殿! 私の愛は、この国のどんな……ぐふっ!?」

王子様が私の手を取ろうとした瞬間、ロンさんの足が「うっかり」王子様の足を踏み、アオ君の肘が「たまたま」王子様の脇腹を直撃しました。

王子様は、愛の詩を最後まで読み上げることなく、壁際まで吹き飛んでいきました。

「あらら……王子様、ダンスの練習でしょうか? お元気ですねぇ。……それはそうと、ロンさん。私、なんだかお腹が空いてしまいました」

「……ふむ。あんな薄っぺらいパーティー料理では、貴様の腹は満たされまい」

「ジャンヌ、俺も腹減ったぜ! さっきの『肉』みたいなやつ、また作ってくれよ!」

というわけで、私たちは王宮の厨房を(力ずくで)お借りすることにしました。

取り出したのは、転生した時に何故か持っていた「秘密のスパイス」と、大量のジャガイモ、人参、そして最高級の牛肉です。

「今日は、『かれーらいす』というものを作りますね。お二人とも、お野菜を切るのを手伝ってくださいな」

「……何だ、この黄色い粉は。嗅ぐだけで力が湧いてくるな(※スパイス)」

「ひゃっほう! 俺はジャガイモの皮を素手で剥いてやるぜ!」

最強の竜二頭が、エプロン姿(※アオ君はサイズが合わなくて破れかけ)で野菜の下ごしらえをするという、前代未聞の光景が広がります。

やがて、厨房からはお腹の空く、食欲をそそる香りが漂ってきました。

「はい、できました。ロンさん、アオ君、たくさん召し上がってくださいね」

銀のお皿に盛られた、ツヤツヤのカレーライス。

一口食べた二人の衝撃は、ドラゴンとしての数千年の歴史を塗り替えるほどでした。

「……ッ!? 辛い、だが……止まらん! この複雑な味わい、宇宙を感じるぞ……!」

「うめぇぇぇ! ジャンヌ、これ毎日食わせてくれ! 俺、もう一生人間でいい!」

二人がカレーを猛烈な勢いで掻き込んでいる横で、私は「ふふっ、お口の周りにルーがついていますよぉ」と、のんびりとお手拭きを差し出すのでした。

壁にめり込んだまま放置された王子様のことなんて、すっかり忘れて……。

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