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第6話:王宮に行っても、お昼寝の時間はありますか?


王宮から差し向けられた馬車は、金細工が施されたそれはそれは豪華なものでした。

けれど、その中身はといえば……。

「……おい、アオ。貴様、少しは向こうへ寄れ。ジャンヌが狭そうにしているだろうが」

漆黒のコートを纏ったロンさんが、隣に座る青い髪の青年——アオ君を鋭い目付きで睨みつけます。

「あぁん? 何を言ってやがる、黒竜。俺の方がジャンヌに近い方が、外敵から守りやすいに決まってんだろ! ほらジャンヌ、俺の肩、使い心地いいぜ?」

アオ君は、仕立てのいい青いジャケットをはだけさせながら、私にぐいぐいと肩を寄せてきます。

「ふふっ、ありがとうございます。アオ君の肩、ひんやりしていて夏には良さそうですねぇ」

私がニコニコとお礼を言うと、ロンさんが私の腰を引き寄せて、自分の膝の上に(自然な動作で)座らせてしまいました。

「……ジャンヌ、冷えるといけない。俺の膝の上で寝ていろ。……アオ、貴様は馬車の外を走ってついてこい」

「てめぇ! 自分だけ特等席に座りやがって! ジャンヌ、俺だって膝枕くらいできるぞ!」

「あらあら、お二人とも仲良しさんですねぇ」

馬車の中では、最強の竜二頭による「ジャンヌさん専用クッション係」の座を賭けた、静かな、しかし魔圧の激しい火花が散っています。

その影響で、馬車を引く馬たちがガタガタと震え、御者さんは「死ぬ……今日こそ死ぬんだ……」と念仏を唱えながら手綱を握っていました。

「あの、ロンさん。王宮に着いたら、私、すぐにお昼寝してもいいのでしょうか? なんだか、揺れが心地よくて……」

「あぁ。王が何を言おうと、俺が黙らせる。貴様は好きなだけ寝ているがいい」

「王宮のベッドより、俺の翼の方が寝心地いいぜ? 途中で一回、竜に戻って飛んでやるか?」

「……余計なことをするな、目立つだろうが」

ロンさんが呆れたように溜息をついたその時、馬車が大きく揺れました。

どうやら、街道に現れた不運な盗賊団が、この「地獄のような魔圧を放つ豪華客車」を、ただの金持ちの馬車だと勘違いして塞いでしまったようです。

「……ジャンヌ、少し目を閉じていろ。ゴミを片付けてくる」

「肉の代わりに、久しぶりに暴れてやるぜ!」

二人のイケメンが、爽やかな笑顔(※殺気100%)で馬車の外へ飛び出していきました。

私は一人残された車内で、「あらあら、お散歩でしょうか? いってらっしゃいませ〜」と、のんびりとお昼寝の準備を始めるのでした。

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