表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

4/16

第4話:はじめてのステーキ。ロンさん、あーんしてあげますね?


ギルドの厨房が、かつてないほどの本気を出しました。

運ばれてきたのは、厚さ5センチはあろうかという、湯気の立ち上る特大の牛ステーキ。

ガーリックとバターの香りが、ギルド中に広がります。

「わぁ……とっても美味しそうですねぇ、ロンさん。ほら、そんなに眉間にシワを寄せないで」

「……ジャンヌ、貴様はこれを食うのか? 焼けた肉など、生で食らうのと何が違うというのだ」

ロンさんは、目の前の肉料理をまるで「未知の兵器」でも見るかのような目で見つめています。

ドラゴンさんは火を吹きますけれど、意外とお料理されたものには馴染みがないのでしょうか。

「ふふっ。まずは一口、食べてみてくださいな。はい、切りますから待っていてくださいね」

私は慣れない手つきで……いえ、元の世界の記憶を頼りに、フォークとナイフを持ちました。

おっとり、ゆっくり。でも、「竜殺し」の力加減が少し混ざってしまったのか、お皿が「ミシッ」と悲鳴を上げましたが、なんとか一口サイズに切り分けました。

「はい、ロンさん。あーん、ですよ?」

私がフォークを差し出すと、ギルド中の冒険者たちが「ええええっ!?」と、声を殺して仰天しました。

あの殺気を振りまく死神のような男に、あーん、だなんて!

ロンさんは一瞬、耳まで真っ赤にして固まりました。

「……き、貴様。……皆が見ている前で、何を……」

「あら、嫌でしたか? 腕、お疲れかなぁと思ったのですが……」

私が少し悲しそうに首をかしげると、ロンさんは「くっ……!」と短く唸り、観念したように小さな口を開けました。

ぱくり。

「……ッ!!」

「どうですか? お口に合いましたか?」

「……なんだ、これは。……柔らかい。それに、このソースというやつ、舌がとろけそうだ。……人間、意外とやるではないか」

ロンさんの瞳が、驚きと感動でキラキラと輝き始めました。

どうやら、元ドラゴンの最強従者さんは、人間の味覚という新しい扉を開けてしまったようです。

「よかった。じゃあ、次も……はい、あーん」

「……。……もう一口だけだぞ。……あー……ん」

最強の竜を餌付け(?)する、平和すぎる光景。

気絶から覚めたギルドマスターが、その光景を再び目にして、「俺は……夢を見ているのか……?」とまたしても記憶を飛ばしてしまったのは、言うまでもありません。

「ロンさん、美味しいお顔もとっても素敵ですよぉ」

「……黙れ。……ほら、次だ。早くしろ」

最後には、ロンさんの方から催促してくるようになって、私はとっても嬉しくなってしまったのでした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ