第17話:キーンとなった竜、雪を降らせる
「うまい、うますぎるぜジャンヌ! ――って、……ッ!?!?!?」
勢いよくソフトクリームを口に詰め込んだアオ君が、突然、両手で頭を抱えてのけぞりました。
「……あ、アオ君? どうしましたか?」
「あ、あ、あたまがあぁぁぁ! 頭の中に氷の槍が突き刺さったみたいだぁぁぁ!!」
これが人間界に伝わる魔の現象『アイスクリーム頭痛』だとは、最強の青竜といえど知る由もありません。あまりの衝撃に、アオ君は我慢できずに竜の姿へと戻り、叫びながら空へと舞い上がってしまいました。
「ガアアアアアア! キーンとする! 全身がキーンとするぞぉぉぉ!」
のたうち回るアオ君の口から、制御不能になった氷のブレスが四方八方に漏れ出します。
すると、どうでしょう。カンカン照りだった真夏の空から、ひらひらと白い結晶が舞い落ちてきました。
「わぁ……雪ですねぇ。とっても綺麗……」
「……ジャンヌ、のんびり感心している場合か。あの馬鹿が街を凍らせてしまうぞ」
ロンさんが呆れ顔でマントを広げ、私に雪がかからないようにガードしてくれます。
空からは、ボタン雪がどんどん降り積もり、王宮の庭はあっという間に真っ白な銀世界。ついさっきまで熱中症を心配していた兵士たちは、今度は「寒い! 寒すぎる!」とガタガタ震えながら、雪だるまを避けて走り回っています。
「あら、せっかくですから、雪遊びをしましょうか。ロンさん、一緒に雪だるまを作りませんか?」
「……。……貴様がどうしてもと言うなら、作ってやらんこともない」
ロンさんはブツブツ言いながらも、ものすごいスピードで雪を転がし、あっという間に私の背丈を超える巨大な「ロンさん像」の雪像を作り上げました。無駄にクオリティが高いです。
「まぁ! 上手ですねぇ。あ、アオ君も降りてきましたよ」
空で頭を冷やし……というより、物理的に頭が冷え切ったアオ君が、しょんぼりと雪の中に着地しました。
「……死ぬかと思った……。ジャンヌ、あの白い食べ物は恐ろしい毒物だぜ……」
「ふふっ、ゆっくり食べれば大丈夫ですよぉ、アオ君。ほら、お礼にこの雪で『かき氷』も作れますねぇ」
「「……かき氷……?」」
二人が首を傾げた瞬間、私のアイテムBOX【みたすもの】から、今度は色とりどりの「シロップ」が溢れ出しました。
真夏の雪祭り。王都の人々は、寒さに震えながらも、ジャンヌさんが作る色鮮やかなかき氷の列に再び並び始めるのでした。




