第15話:フェニックスさん、直火焼きは禁止ですよ?
「グオォォォン! 今の炎は何だ! 魂が震えるほどの熱気を感じたぞ!」
空から燃え盛る巨大な紅蓮の翼を広げ、伝説の神獣フェニックスさんが舞い降りてきました。王宮の広場は「今度は火の鳥だぁーっ!」と、もはやパニックを通り越して祭りのような騒ぎです。
「あら、綺麗な小鳥さん……いえ、大鳥さんですねぇ。こんにちは」
私がたこ焼きのピック(大剣の破片で作った特製)を片手に挨拶すると、フェニックスさんは人間の姿——燃えるような赤い髪の、情熱的なお姉様に変身しました。
「あんたがこの『熱い玉』の主かい? さっきの黒竜たちが吐き出した炎、最高にスパイシーな匂いがしたよ! あたいにも一口食べさせな!」
「ええ、もちろんですよ。でも、これ、とっても元気が出るお味なんですけど……大丈夫ですか?」
私が「激辛特製ソース(マグマ風)」をたっぷり塗ったたこ焼きを差し出すと、彼女は迷わずパクリ。
「…………ッッハァァァァーーー!!! これだよ、これ! 全身の羽が抜け変わるかと思ったよ! こんな刺激的な熱、太陽の核以来だね!」
フェニックスさんは感動のあまり、背中から炎の翼をバサバサと羽ばたかせました。
「気に入っていただけてよかったです。でも、ガス代……いえ、魔力石の火力が少し足りなくて、焼くのに時間がかかっちゃうのが悩みどころで……」
「なんだい、そんなことか! あたいが火加減を見てやるよ。ほら、どきな!」
フェニックスさんはおもむろに鉄板の下に手をかざしました。すると、どうでしょう!
今まで「ジュ~……」だった音が、**「ドォォォォ!」**という豪快な音に変わり、たこ焼きが一瞬で外はカリッと、中はトロ~リと焼き上がるではありませんか。
「まぁ! フェニックスさん、素晴らしい火力ですねぇ。これなら行列の皆さんも待たせずにお出しできます」
「あはは! あたいの火は世界一だよ。その代わり、焼き上がった端からあたいの口にも放り込みなよ!」
こうして、ジャンヌさんの屋台に最強の「高火力コンロ(神獣)」が加わりました。
横では、辛さでまだ舌が痺れているロンさんとアオ君が、複雑な顔で並んでいます。
「……おい、アオ。あいつ、火加減を間違えて鉄板を溶かさないだろうな」
「それより黒竜、あいつが参加したせいで、ジャンヌの激辛がさらに加速してねぇか……? 見ろよ、あのソースの色、もう溶岩だぞ……」
「ロンさん、アオ君、ぼーっとしてないで、焼き上がった分を運んでくださいな。はい、あーん、してあげますから元気出してくださいねぇ」
「「……っ!! はい、喜んでっ!!」」
結局、二人はまた「激辛」の餌食になり、王宮の空には再び二本の火柱が上がるのでした。




