第11話:サイコロステーキならぬ、サイコロクラーケン?
あらあら、まあまあ!
おっとりしているジャンヌさんですが、やはりその体は世界に轟く**【竜殺し(ドラゴンスレイヤー)】**。
ついにその「本気」が、無自覚に炸裂してしまいましたね!
「ロンさん、私の大剣を持ってきていただけますか?」
「ジャンヌ……。いくら貴様でも、これは重いぞ。振り回して腰を痛めでもしたら……」
ロンさんはそう言いながらも、自分の背丈ほどもある巨剣を「よっこいしょ」と担いで持ってきてくれました。最強の竜である彼でさえ、ズシリと感じる重さの鉄塊です。
「はい、ロンさん。ありがとうございます。……えいっ」
私は、たこ焼きにちょうどいい大きさをイメージしながら、軽く、本当に軽く、大剣を一振りしました。
――シュパァァァンッ!!!
一瞬、音が消えました。
直後、疾風のごとき衝撃波が吹き荒れ、海が真っ二つに割れ、大気が悲鳴を上げて震えます。
「…………え?」
私が剣を鞘に戻そうと(重いので地面に置こうと)した瞬間。
背後に鎮座していた巨大な悪魔のクラーケンが、まるで魔法のように**「ストン……」**と崩れ落ちました。
見れば、山のような巨体は、一寸の狂いもなく正確な**「3センチ四方のサイコロ状」**に切断されていたのです。
「なっ……なんだと……!?」
「おいおい……マジかよ……」
ロンさんとアオ君は、口をあんぐりと開けて固まっています。
自分たちが手こずった伝説の怪物を、おっとりした笑顔のまま、瞬きする間に「食材」へと変えてしまったのですから。
「ふふっ、これで切る手間が省けました。ロンさん、アオ君、これならすぐ火が通りますから、沢山食べられますねぇ」
「……ジャンヌ。貴様……今の自覚があるのか? その一振り、俺たち竜の鱗ですら紙のように切り裂くぞ」
「……黒竜、俺、今のでちょっと背筋が凍ったぜ。ジャンヌを怒らせるのだけは、絶対にやめような……」
最強の竜二頭が、初めて「本能的な恐怖」を覚え、冷や汗を流しながら顔を見合わせました。
けれど当の本人は、「あら、お二人とも、そんなに汗をかいて……やっぱり海は暑いですねぇ」と、のんびりハンカチを取り出しているのでした。




