表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
キミの想いを受けとめよう!  作者: 双鶴


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

4/7

4話

 星屑のDM暴露で騒然となった部屋は、まだ熱を帯びていた。炎は立ち上がったまま拳を握りしめ、アーカイブはファイルを抱えて眉間に皺を寄せ、月影は黙って壁際に座っている。ひまわりだけが落ち着かず、紙袋を抱えたまま視線を泳がせていた。


「……私も、翔真に会ったことがあるんです」

 ひまわりの声は小さかったが、部屋の空気を一変させるには十分だった。


「ええええ!」炎が叫び、机を叩いた。

「また直接会ったって? どういうことだ!」

「夢じゃないですよね?」星屑が冷静に問いかける。


 ひまわりは頬を赤らめ、両手で紙袋をぎゅっと握った。

「ライブの帰り道で……偶然、駅のホームで。人混みの中で転びそうになった私を、翔真が支えてくれたんです」


 アーカイブが目を見開いた。

「それは……公式スケジュールには載っていない日ですね」

「そうなんです。だから誰にも言えなかった。でも、彼は確かに私に言いました。“大丈夫? 無理しないで”って」


 炎は信じられないという顔で頭を抱えた。

「そんな偶然ばっかりあるか! 俺は十回以上ライブに行ったのに、一度も会えなかった!」

「十回で会えるなら全員会えてますよ」星屑が冷静に返す。


 ひまわりは必死に続けた。

「そのときの彼は、少し疲れているように見えました。でも、笑顔はいつもの翔真でした」

「疲れていた……」月影が低く呟いた。

「それが、彼の死に繋がるのかもしれない」星屑がノートに書き込みながら言う。


 炎は机を叩き続ける。

「いや、違う! 彼は生きてる! 俺たちを試してるんだ!」

「机が壊れる!」ひまわりが慌てて叫び、場が一瞬笑いに包まれる。


 アーカイブは冷静に分析を始めた。

「つまり、翔真はファンの前では常に笑顔を見せていたが、裏では疲れを抱えていた。星屑のDM、月影の言葉、ひまわりの体験……すべてが“笑顔を守る”という彼の意志に繋がっている」


 星屑が頷く。

「でも、それならなぜ“未来へ”を歌わなかった?」

「それが謎だ。彼は何かを隠していた」アーカイブが答える。


 炎は立ち上がり、拳を振り上げた。

「いや、これは全部仕組まれた陰謀だ! 翔真は生きてる! 俺たちを試してるんだ!」

「机が本当に壊れる!」ひまわりが再び叫び、場が笑いに包まれる。


 しかし、月影が静かに口を開いた。

「……翔真は、私に“笑顔を守る”と言った。ひまわりさんには“大丈夫? 無理しないで”と言った。星屑さんにはDMで同じ言葉を送った。全部繋がっている。彼は、私たちに何かを託したんです」


 全員が息を呑んだ。翔真の死の影は、ますます濃く立ち上がっていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ