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緊急事態発生

≪緊急事態発生!札幌にて有害鳥獣による災害発生!直ちに出撃せよ!

繰り返す!札幌にて有害鳥獣による災害発生!直ちに出撃せよ!≫

 就寝時刻の迫る自衛隊基地に、突如として警報が鳴り響く。

「熊でも現れたか!?」

 有害鳥獣と聞き、その代表であるツキノワグマを思い浮かべる。

 異常事態を告げる警報の中、俺こと泉丸一(いずみまるはじめ)は麾下の隊員たちと共に出撃の用意を整える。

 外に出れば足の速い隊員たちがアサルトライフルを持ち、用意されたトラックの荷台にすでに乗りこんでいる。

「準備が完了次第出撃せよ、急げ!」

 轟く上官の怒号を背にしながら、トラックに乗り込む。

 ツキノワグマと戦うにしてはやけに兵員が多すぎることに違和感を覚えながらも、トラックに揺られて任地へと向かう。

 空には戦闘ヘリコプターが飛び、ツキノワグマ一頭の駆除で済みそうにない事態だということを直感する。




『地獄』


 見たものを一言で表すと、これ以上にふさわしい表現はないだろう。

 

 ツキノワグマよりも大きな、見たこともない生命体が都市を破壊し、人々を殺戮していた。

 岩のような生命体が大きなトラックを横転させ、ファンタジー作品で見るドラゴンのような生物が空を飛び、火焔を吐いてビルを焼く。

 悲鳴に視線を向ければ、角の生えた三メートルはある巨大なウサギが逃げる民間人を貫き、後ろに投げ飛ばす。

「…戦闘用意!」

 非現実的な光景に動揺しつつも、銃を構える。

「有害鳥獣を食い止めるぞ、射撃開始!」

 バババと響く銃声。

 何十発もの銃弾が角の生えたウサギの急所に命中する。

「目標撃破!」

 幸いというべきか体は柔らかく、銃弾が貫徹したウサギは簡単に倒れ伏す。

 直後、ビルの壁が破壊される。

 銃を向けると、そこにいたのは岩のような生命体。

 四メートルはある巨体をゆっくりと動かしながら、ズシンズシンと足音を鳴らしてゆっくりと近づく。

「三笠、戦車が必要だ。機甲師団の出撃を要請しろ!」

「了解です!」

 直感で戦車隊の支援を要請。

 同時に新人の三笠を要請名目で下がらせる。

 ダメもとで手りゅう弾を投擲、足元で大爆発を起こすも岩の生命体は少し欠けるだけで活動を続けている。

「隊長、これでは相手になりません。後退の命令を!」

「後退しろ」

 部下に後退を指示。

 隊員が退く中、岩の生命体の前に立ちはだかる。

 こいつを自由にさせれば更に都市の破壊が進む。

 戦車隊が来るまでの間でいい、こいつを足止めする。

 ロケットランチャーがあればすぐにでも砕いてやったところだが、無いのならば仕方がない。

「来いよ、ゴーレム野郎」

 ファンタジー作品に登場する岩のモンスターの姿をこいつに重ねながら、そう挑発。

 振り降ろされた拳をかわすと、小銃を撃ってさらに神経を逆なでる。

「グゴォォォォォォ…」

 怒ったのか、咆哮が響く。

 標識を引き抜き、それを振り回し始める。

「暴れん坊が…」

 ブンブンと音を鳴らして標識を振り回すゴーレム。

 見た目通りの力任せの攻撃をぎりぎりで躱し続けていると、上空が爆発する。

 航空自衛隊の放ったミサイルがドラゴンを墜としたらしく、空に顔を向ければその遺骸がこちらに向かって落ちてくる。

「やべっ!」

 とっさに距離を取る。

 ドォォ―――ン

 ドラゴンの遺骸がゴーレムに直撃。

 さすがに効いたのか、ゴーレムは衝撃によろめき、地に片膝を付く。

「泉丸さん!」

 遠くから聞こえた声に振り向けば、そこには一両の10式戦車。

 キャタピラでがれきを破砕しながら、力強く戦場を駆ける。

「やっと来たか、やってくれ!徹甲弾だ」

「了解、弾種、徹甲!発射用意!」

 退避して射線を確保。

 轟音と共に徹甲弾が打ち出され、ゴーレムが砕け散る。

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