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第一章『勿忘草』 十四節『最終準備1』

まだ寝てないので今日ですよ?



何度も何度も遅れてしまって、大変申し訳ありません! しかも短いし…

これからはこんなことがないよう精進します。

十四節『最終準備』



 走る、走る。僕は走る。なぜかって? もう締め切りまで時間がないからだ。


 ことの発端は二週間前の任命式の後日だった。

まだ二年生の僕たちは冒険課程に参加するために通過する必要のある進級適正試験を受験すらしていなかった。だから特別に筆記試験と実技テストを実施し、追加のレポートの提出も求められた。

小隊員どうしの相性などを加味して試験を行うのだから小隊として認めてもらうことは書類選考に通ることと大差ないのだ。


 で、だ。なぜ走っているのかと言うと、白亜のやつがレポートの締め切りを聞き間違えて今日の夜までに提出のところをの三日後の夜までと思い込み、僕たちに間違った情報を伝える始末。そのおかげでみんな大慌てというわけだ。


 何とか完成させたはいいもののもう夜も遅い。先生たちはいるだろうが夜の水海は歩いて渡れないし、『脅威』が潜んでいる可能性も捨てきれない。僕たちだけでは学校に行くことはできないので、仕方なく寮の近くに住んでいる学校関係者のところへ行くことになったのだ。


 なぜ僕が行くことになったのかと問われればみんな試験に向けての勉強で忙しいとのこと。白亜に生かせるのが筋だとも思うが不安で仕方ないので結局僕が行くことにした。

息を切らしながらやっと着いた家、と言うか小屋の前で僕は立ち尽くす。


「遅かったか…」


 その小屋にもう光はともっていなかった。

と言うのもここに住んでいるのはサンスベリア訓練生学校の元学校長でかなり高齢だそうだ。もう寝てしまっただろうか。これはまずいことになった。もし自分だけで夜の水海を渡るしか——


「そこのお若いの。何かお探しですかな?」


 いつの間にか目の前に立っていたおじいさんがかすれた声でそう声を発した。どういうことだ??


 頭がこんがらがってきた。えーと、今まで確かにいなかったよね?


 でも今目の前にいる。


 ということは、どういうことだ? 余計わからなくなってきた。そして一つの答えにたどり着く。幽霊だ。そう言った類いのものがあまり怖くない僕は落ち着いて手を合わせる。


「成仏してください…」


「むう、些か失礼ですな。まだまだ現役も現役。“今”の君よりは強いと思いますぞ。ほっほっほ」


「しっ失礼しました! つい雰囲気的にそうなんじゃないかって思ってしまって」


「いいのですじゃ。では質問に戻りましょうかの。ここで何をしておられたのですかな?」


「はい。実は…」


 僕はことの経緯や今までの流れを話した。ところで、誰なんだこの老人は…


「そうでしたか。それならばお任せください。必ずや届けて見せましょうぞ」


「え、何をです?」


「はて、そのレポートを学校に届けてほしいのでは?」


「でもあなたは、学校関係者ではないのでは?」


「ほっほっほ。何をおっしゃるかと思えば。吾輩が君の言う元学校長ですぞ」


「こっ、これは大変失礼いたしました!」


「間違うことは気に留めませんがな、人によって態度を変えることは好ましくありませぬな。出会う人すべてに、気丈にふるまってこそ人類の砦、近衛兵と呼べましょう」


「返す言葉もないです」


「ほっほっほ。分かればいいのですじゃ。ほら、レポートをこちらに」


「ありがとうございます。お願いします」


 そう言ってレポートを手渡そうとした瞬間だった。


「待ちなされお若いの!」


 そう後ろから声がした。その声を聞き僕は驚愕した。

 全く同じ声だったのだ。目の前の老人の声と、後ろから放たれた声が。


 だが、次の瞬間には今まで話していた元学校長は消え叫んだ方の元学校長の足元に小さな生物がいた。


 シリアスな展開になるかと思われたがその心配はなかったようだ。僕は平然とした顔で老人に話しかける。


 だが頭は見た目よりも混乱していたので。会話が始まるや否やすぐに元学校長たるその老人を問いただした。


「さっきのはどういうことですか?!」

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