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第一章『勿忘草』 十二節『任命式』

十二節『任命式』


 六限の心理応用学の授業を終え、そのままモネ先生と一緒に任命式が行われる、第三校庭に向かう。なぜ校庭が三つもあるのか甚だ疑問だが、そこはもう一年生の時にこの学校だから仕方ないと無理やり納得した。


 校庭に向かいながら、新校舎から旧校舎に入った。旧校舎は城のような作りになっている円形のこの学校の一番真ん中に位置する一番古く一番大きい建物だ。中には教室はもちろんだが、大図書館や研究室などがある。そんな旧校舎の、新校舎よりも数倍も広く高い廊下を歩いていると、いまだにこれは本当に学校なのかという気持ちになる。


 しかしほかの生徒の姿が少ない。いつもならもう少しいてもおかしくないのだが。何か別の場所でイベントでもあるのだろうか。


「着いたよ、第三校庭だ」


「いつ来ても広いねー」


 ララはなんとなく来慣れている感じだ。そういえばミクリアとララでよくここに実験をしに来ていたって聞いたな。校庭には、最もこれがも校庭と呼べればだが無数の木々や小さな丘、川や湖などがあり、まるで本当の野山が学校の中に広がっているようだ。

 と言うより突如として自然が校内に発生し浸食してしまったと言った方が正確かもしれない。


 石畳と土が入り混じっている校庭の端で僕たちはアンセントワート先生が来るのを待つ。


「僕と白亜はここに来るのは一年生の集団基礎訓練の時以来か」


「うっ、あんまり思い出したくねえ記憶が」


 まあ、そう白亜が言うのも理解できる。そうここは例の事件が起こった場所なのだ。


 アンセントワート先生集団熱中症事件。クラスの半数以上、と言うか集団合同訓練に参加していた生徒の半数以上が熱中症になった事件だ。かく言う僕ももちろんなった。


 アンセントワート先生がそのとき何をしたかと言うと生徒全員に自分の体力の分配を行う大規模魔法を行った。そのおかげで生徒たちはその場で回復しそれ以上の訓練は行われなかった。


 この事件でアンセントワート先生の怖さがわったとともに、底知れない実力を見せつけられた。そもそも大規模魔法を扱える個体が少ないうえに生徒全員に回復できるだけの体力の分配を行うのは非常に困難なことだ。ちなみに一年生は全部で千人ほどいた。


 これが理由でどれだけアンセントワート先生のことが憎くても嫌いでも、敬称を欠くことは誰もしない。


 苦い思い出がフラッシュバックしているとアンセントワート先生が歩いてきた。声に出してすらないが、噂をすればと言うやつだ。


「ご苦労。早速式を執り行う。ついてきたまえ」


 そう端的に言って僕らの前を歩き始める。


 しばらく歩くうちに森の中へと入った。少し薄暗いが木漏れ日や葉っぱを透過した光があるので足元はしっかりと見える。


 歩く、いつまでも。そもそもここどんだけ広いんだ? 一年生のときはもっと小さかった気がするが…


「いつまで、歩くの?」


 顔がリンゴのように赤くなったミクリアがララに訪ねている。


「もお、ミクリア普段運動しないからだよ? て!言うか風が吹いたりしたら危ないから私の後ろにいなさい!」


「うん、」


 そんな会話はアンセントワート先生によって断ち切られた。


「着いたぞ、諸君」


 何もないところで 振り返るアンセントワート先生。こんなところに何があるというのだ。視界に入る木々が少なくなって開けた土地に出たこと以外は特に今までと変わりはない。


「こんなところに何があるんだって顔をしているね」


「「「「っっ!」」」」


 ああよかった。みんな同じような反応をしている。僕だけが無知だったわけでは無かったようだ。


「学校の歴史書も読んでいないとは、この先が思いやられるな」


「あんな古文書読んでいる生徒がどこにいるっての。まったくあなたと言う人は」


「あのぉ、何のことかさっぱりなんですけど」


 だれも聞こうとしないので僕が聞く。


「まあみててなさい。面白いものがみられるわよ」


 そう言ってモネ先生はアンセントワート先生の方を腕組みして顎で指した。なんだか誇らしげだ。


〈————〉


 何やらぶつぶつ言っているがよく聞き取れなかった。


「自分たちの小隊名を思い浮かべたまえ。そしてそのまま目を閉じろ」


 静かで落ち着いた声ながら有無を言わせぬ気迫を感じた。僕たちは黙って目を閉じた。なぜ小隊名を思い浮かべるのだろう。


 その思考はすぐに断ち切られた。


 瞼の裏からでもなおはっきり分かるほどの光によって。


 あっと言う間の出来事で混乱していたが、アンセントワート先生の声が聞こえた。


「目を開けろ」


 僕は間髪を入れずに何が起こったのかを聞く。


「今のは…なんだったん、ですか」


「お前たちの小隊名を世界に記憶させた」


「せっ、世界に記憶? どういうことなんですか?」


「何度も言わせるな。お前たちの〈千花(せんか)〉と言う小隊名を世界に記憶させたと言っているのだ」

こんにちは、こんばんは。しらすおろしぽんずです。

この作品を手に取っていただいてありがとうございます。

初枝れんげ先生と言ういくつものWeb小説を書籍化をなさっている方にYoutubeで質問をしたら丁寧に回答をいただけて嬉しかった…

話がごちゃごちゃしてしまいましたが、これからも頑張って投稿していきますので応援していただけると幸いです。

それでは、また。

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