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第一章『勿忘草』 一節『朝』

冬の景色。静かで落ち着いた季節の色。葉の散った木の上を、群れを成して飛ぶ鳥の、田舎の川の、道の、そして空の何といとおしい淡い色。ああこの景色を、眺めていたい。



一節『朝』


「おーい、おーい、おい、起きろっての、起きろレナグ!」


 白亜の声が狭い相部屋に響く。朝から迫力のある低い声が二段ベッドを揺らす。


「おい、まじで起きろ。授業遅れるぞ」


「うっせ、もうとっくに起きてる」


 苦し紛れに誤魔化しながら僕は重い頭を上げ真っ白の地に金色のボタンがついた制服に着替え、これまた真っ白の襟付きマントを羽織る。


「いや、にしても眠い! なんで月曜の朝っぱらから授業があんのかね。しかもよりによって()()だぞ()()! ()()()()()()!」


 そんなことをただの生徒の僕に言われても困る。第一に訓練課程の二年生から本格的に戦闘訓練を受けられるのだから逆にうれしいくらいだ。先生さえ違えばの話だが。

 そんなことを考えながら棚に入った乾パンを開け口に放り込む。そしていつも通りそのぼっそっとした食感に眉をひそめる。お金がない学生のうちはこれで我慢するしかない。


「ていうかお前、昨日の夜言ってた課題終わったのかよ。あれ今日の一限目までのやつだろ」

なんのことだかさっぱり覚えていない。


「ん、なんだっけ、それ。」


 そういうと白亜は逆立ちする熊を見るかのように驚いたような面白がったような顔をした。しかし本当に身に覚えがないのだから仕方ない。とは言え何やら重要そうなので、身支度の手を止めて聞いてみる。


「まじでなんだっけ」


 白亜はその白緑色をした髪の毛を頭の後ろで結わえながら寝ぼけてんのかとでも言うように、というかそれを通り越して不思議がるような目つきで


「この前の集団戦闘訓練の反省文。原稿用紙で十枚」


 と人を馬鹿にするように言う。ただでさえ目つきの悪い顔をしているのだからそんな目で見ないでほしい。そりゃあ一年生たちも怖くて逃げだすだろう。


「あれ。そんのあったっけ。てかだとしたら終わってない。」


「お前ほんとに寝ぼけてんのか。あれ出さないと単位落とすぞ」


「まじ?」


「まじ」


 まずい。

 はっきり言って非常にまずい。

 普段は回らない頭を光を超える速さで回しても解決方法が浮かばない。今回の単位を落とせば夏休み中補習ずくしになってしまう。これはマンセル暦、緑年最大の危機かもしれない。

 ほかの科目なら何とかなっただろう。例えば心理応用学。あのクラスの担任であるモネ先生は凄みのある先生だが優しくて寛容な性格の持ち主だ。だから生徒からも人気がある。心理応用学の先生なだけあって嘘はすぐにばれてしまうけれど。そうはいっても正直に事情を話せば追加の課題を出してくれるはずだ。

 しかし一戦の担任のアンセントワート先生は違う。あの先生は自分の信じることは絶対主義な人で生徒の話をなかなか聞き入れない。炎天下の中訓練を継続してクラスの半数以上が熱中症になったこともある。そんな先生に何を言っても無駄な――


「ぼさっとしてんな。ほら行くぞ」


 もうこんな時間か。時計の針がちょうど180度になっているのを視界の隅で確認する。今さら課題のことを考えても無駄か。とりあえず話をするだけしてみよう。半ばあきらめつつ鞄を肩にかける。


「準備はできたか?」


 白亜が急かしながら言う。


「ああ、それじゃあ」


「「行ってきます!」」


 こんにちは、こんばんは。しらすおろしぽんずです。まずはこの作品を見つけていただき本当にありがとうございます。初めての小説執筆ということで、上下左右何もわからない状態でした。そんな中でも皆さんに読んでもらえるよう、そしてこの作品を読んでいる間そのあとも楽しんでもらえるよう書きました。自分が書きたかっただけというのもありますが、、ご都合主義なところも多々ありますが、とにかく少しでも印象に残っていれば幸いです。そしてまた読みたいと思っていただけるのならこれ以上うれしいことはありません。

 一週間に一、二回ほどの更新ペースで投稿しようと思っていますので、続きも楽しみにしていてください。それでは。

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