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日常の目覚め

スイガクにとって、眠りに落ちる事は目覚める事と等しい。

寝た瞬間に、スイガクの意識はどこかへと導かれる。

数秒の浮遊感の後、スイガクは目を覚ます。


「よく寝た。のかな? あんまり実感ないけど」


 スイガク改め、こちらの世界の呼び名はドローロ。特にパッとしない冒険者として、地味な暮らしを営んでいる。


「ん〜……!!」


 伸びをして周りを見渡す。見慣れた我が家である。


「起きたの?」


 視界に割り込んできたのは母だった。こっち側の母であるが、そもそも生まれつきの2重生活ゆえどっちが本当とかは存在しないどちらも本当の母親である。


 片方の母は既に死別しているが。


「今日は良いお肉をお裾分けされてね。朝から豪勢よ」


 木製の食卓にドンと盛られた塊肉。香辛料の香りが食欲を刺激する。


「美味しそうだ」

「あったりまえじゃない!! 国王陛下にだって誉められたことあるんだから」

「またそんな事言って」

「あー、信じてないでしょー。本当なんだからー!!」

「はいはい」


 自分の食べる分肉を切り取り、口に運ぶ。


 締まってはいるものの噛みきれないほどではなく、臭みも上手く消されている。


「美味い」

「へっへーん!! どうだ参ったか!!」

「参りました」


 肉を食べ終えると玄関近くにある道具一式を身につけた。

この世界での仕事道具である。


剣に盾、それに瓶。ナイフに縄、その他諸々である。


冒険者といえば聞こえは良いが、トップランナー以外の実態は雑用係である。


命の危険があるものも少なくない。


依頼料は悪くないが、危険と装備代でトントン。そういう仕事である。


ドローロが主にやっているのは危険の少ない採集とか、強くない相手の討伐依頼とかである。


そのような依頼でも冒険者は死ぬし、傷を負うし、失敗する。


だが、ドローロは今まで失敗したことが無かった。


ゆえにドローロの立ち位置は少し特殊なものになっている。


「行ってきます母さん」

「ええ、いってらっしゃい」


 扉を開け外に出る。


 ドローロの1日が始まった。







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