日常の裏
モック。
ハンバーガーチェーン店。
マークは雲がm字になっている。
絶大なシェアを誇る人気店である。
「あれ? この式どうなってんだ」
「それは、これをこうしてこう」
「おー、なるほどな。やっぱりお前とやると捗るわ」
「ならば報酬としてポテトを」
「どうぞどうぞ」
モックの中にあるテーブルで課題を解いている。授業中寝てるかぼーっとしているのが信じられないほどスイガクは手際よく問題を解いていく。
「いっつも不思議なんだよなー」
「何が?」
「お前が勉強できるのが」
「そうなの?」
「そうだよ。授業まともに聞いてないだろ」
「あー、それはまあ」
「これが基礎スペックの違いかぁ」
「そんなんじゃないって」
「じゃあ何なんだよー」
「なんかできるんだからしょうがないだろ」
「……まあ良いや。ちょっとお花摘みに行って参りますわ」
「なんでいきなりお嬢様キャラ?」
「これからこれでいこうと思いますの」
「やめた方がいいと思う」
「だよなー」
ほぼ脳を使わない会話を終え、席を外す。スイガクの親友であるこの男はトイレへと向かわず。気配を絶ち、路地裏へと向かった。
「……そこだな」
何もないはずの空間を掴むと、そこには黒い布に身を包んだ男が居た。
「馬鹿な……見つかるわけが」
「実際見つかってんだろうが、ふざけんなよお前。誰の差し金かも、何が目的かも関係ねえ。俺があいつと一緒にいる時間を削りやがったのがお前の死因だ」
まるで雑草を刈り取るが如く手刀が首を落とす。傷口は血の一滴もこぼれずに焼き切れていた。
「全くよ、これだからあいつから目を離せないんだ」
この男はスイガクの親友にして、現代忍者最高傑作。
名をコタロウ。
親しい人間からはコロちゃんと呼ばれている。




