大好きだよお兄ちゃん
寒さが残る2月。俺の自慢の妹、眞宮花奏は下校時に階段から落ち頭部を強打した末亡くなってしまった。
亜麻色の髪をさくらんぼの髪留めでツインテに纏めあげ、胸もお尻も控えめの若干ロリ体型ではあるものの、天真爛漫な性格と屈託ない笑顔で周りのみんなまで笑顔にしていた可愛い妹。
いつも俺の後ろをひょこひょこついて来る本当に可愛い可愛い妹だった。
「おっきくなったらおにいちゃんとけっこんするんだー!」
ずっとそんなことを言っていた。
俺は現実を受け止められなかった。
ああ泣いたさ、一年分いや一生分は。
だが、一言俺は言いたい。
「俺の悲しみを返せー!!!!!!」
俺の頭上に浮かぶ少女にそう叫んだ。
「なに?うるさいよーお兄ちゃん」
花奏は俺のマンガを読みながら気だるそうに答える。
「いや、葬式の時のこと思い出したら腹が立ってきたんだよ」
「過ぎたことはいいじゃん。それより5巻取って」
死んでなおこいつは兄をパシるのか。俺はベッドから立ち上がり本棚からご注文頂いたものを渡した。
「ほれ」
「あいあとー」
俺から本を受け取ると俺のベッドの上に寝っ転がる。
どうやら幽霊とやらは自分の意思で物に触れるか否か決めれるらしく、今のように寝っ転がりたいと思えばベッドに寝れるし、壁を貫通したいと思えばするりと抜けられる。
なんともご都合主義なこった。
「なあ、お兄ちゃんのスペース開けてくれないか?」
完全に俺の寝場所を奪われ困ってしまう。明日も学校だからそろそろ寝たいんだが。
「いーよー。密着すれば入るでしょ?」
そう言うと花奏は壁際に寄って俺がギリ入るかくらいのスペースは開けてくれた。一人用のシングルベッドなんだから余裕なんてあるわけが無い。
「なあ…お兄ちゃん眠いからさ…」
「だから入るじゃんて。…何?私と寝たくないの…?」
涙目の上目遣いでそんなことを言ってくる。うーん可愛い。
「いや寝たいです」
それを聞くと花奏はいたずらっぽく笑った。
「ふっふっふー私ってば魅力的だからねー」
いや嘘泣きだよねー。お兄ちゃん分かってた。
ったくこいつはいつの間にこんな小悪魔になったんだよ。
俺はお譲り頂いたスペースに寝かせてもらう。
すると花奏はマンガを投げ捨て俺の腕に抱きついてきた。こらマンガを投げてはいけません。
だがしかし…こんな控えめなむn
「祟っちゃうよお兄ちゃん♡」
おっと地雷のようだ。花奏の後ろに般若が見えちゃったよ。
なんでお兄ちゃんの心の声聞こえちゃったのかな?それも幽霊の能力なのかな?
「ハハハ、お兄ちゃん花奏に抱きつかれて嬉しいな」
「えへへーそーお?」
やや投げやりに答えたのだが当の本人は頬を緩ませまくって俺の頬を指で突いてくる。
バカップルのようなやり取りに兄としては複雑に思いながらも内心満更でもない自分に嫌気がさす。
まあ、あれだ。トンビの子はトンビというように、ブラコンの兄はシスコンということなんだろう。
そう納得して俺、眞宮湊月が寝たのはこれから1時間程が経過してからだった。
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