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モルのワルワル人レーダーで僕は例の進学校にたどり着いた。
僕の学校とは違って校庭には運動部どころか人がいない。
遠目で校舎の窓を見ると席について黒板を見ている学生たち。
進学校というだけあってまだ授業をしているのだろうか。
「ほら、怜一、行くよ!」
そんな事気にすることもなく、モルが催促する。
「いや、ちょっと待て。マルチ商法の二の舞いになる可能性がある。下校時刻まで待とう。」
流石に厨二病全開で進学校に入る勇気はない。
僕の提案にモルは不満そうにしていたが、渋々僕の提案を受け入れた。
18時前。
やっと生徒がぞろぞろと出てくる。
この学校には部活動という制度はないのか?
「7時間目もある日は流石に疲れるな。」
生徒がそんな話をしながら出てくる。
「明日は土曜だし、やっと練習できるよ。」
えっ?土日しか部活動ないの?
「お前課題、どうする?」
しかも7時間目もやって課題もするの?
もう色々と僕の学校生活と違いすぎてついてけないんだが…。
「怜一!!あいつだよ。まどかちゃんの彼氏のワルワル人!!」
モルが指をさす。
僕はその先を見ると一際目立つイケメンが居た。
くそ。遠目からでもイケメンぶりがわかるぜ。
まどかちゃんの彼氏は友人たちと爽やかに歩いている。
「月曜のグループワークまでにレジメまとめとくよ。
その時、みんなで確認取ってもらっていいかな?」
グループワークにレジメ?
ち……知能の高そうな単語使いやがってッッ!!!!
「助かるよ。頼んだ!!」
しかも人望までありそうだ。
僕は相手のポテンシャルを感じで足がすくんでしまう。
本当にこいつはワルワル人なのか?
友人たちと無駄に爽やかに別れて、まどかちゃんの彼氏は無駄に姿勢良く歩き出している。
今がチャンスか!!
「爽やかJDに擬態してるワルワル人!!
この魔法戦士がキュルキュル人に代わって成敗してやる!!」
なんか正義の味方って言いにくくて、モルのせいにしてまどかちゃんの彼氏の前に姿を現す。
彼氏は一瞬ポカンとしたが、すぐにキュルキュル人だって?と動揺した声を出してUターンして逃げ出した。
こいつ!クロだ!!!
僕はすかさず追いかけ、魔法戦士パワーを込めて飛び蹴りを食らわした。
「ぐはっ!!!」
イケメンが見にくいワルワル人に変貌する。
「なんで…こんな…ことに…」
そんな言葉を残して、時空の歪みに引きずり込まれていった。
どうやら無事に帰還したようだ。
「危なかった。これで、まどかちゃんはもう安心だよな?」
僕の問にモルは頷く。
「君はまどかちゃんを救ったんだよ。大変なことになる前に間に合って良かったね。」
僕は誇らしくなった。
ブルーだった1日が一瞬で充実した最高な1日になった。
誰にも魔法戦士の正義の活動のことは話せないけど、僕は平和のために立派な仕事をしてるんだ!!!
そんな仕事を与えてくれたモルに僕は心の底からありがとうと、お礼を言った。