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ブルーな気持ちで迎えた放課後。
3階の非常階段から見下ろす校庭には、青春の汗を流してキラキラと輝いている運動部が練習をしている。
高校生活を謳歌してるな。
おい。
羨ましいぞ。
おら。
正直、今現在、モルに対する信用はほぼゼロであるこの状況をどう説明すればよいのか。
モルとの契約は、地球侵略を目論むワルワル人を追い出すことだ。
だが、ワルワル人は地球にどのくらいいて、何体(何人というべきか)追い返せばよいかなどは聞かされていない。
つまり、僕自身でゴールを認識出来ない。
「なんという契約を結んじまったんだよ…。」
ボソリと声が出てしまった。
「契約って?」
後ろから声がしてビクッとした。
このかわいい声は…!!
「まど、、高見さん!!」
涙袋をプクリと膨らませた笑顔をしたまどかちゃんだった。
「あ、いや、、、携帯のね?プラン失敗しちゃってさー。」
僕は慌てて誤魔化した。
「それより、朝チラッと聞こえちゃったんだけど、高見さん彼氏できたんだって?」
誤魔かす為に放った僕の質問にまどかちゃんは顔を赤めた。
僕は何という愚かな質問を放ったのだろう。
「そう、1週間ぐらい前にね。他校の人なんだけど。写真見る?」
そう言ってまどかちゃんはスマホから画像を見してくれた。
仲慎ましそうに顔を寄せ合った自撮りの写真。
まどかちゃんの隣に写った男は、髪がサラサラで切れ長な目のシュッとしたイケメンだった。
しかも、隣町の進学校の制服を着ている…だと?
「彼氏……かっこいいね……。」
かろうじて絞り出した感想。
まどかちゃんは嬉しそうにありがとうと、お礼を言った。
「男の子から見てもやっぱりカッコいいんだ。
少し前に私、貧血で電車で座り込んじゃってさ、その時に色々と助けて貰ったの。彼も通学中だったのに、わざわざ病院まで付き合ってくれてさ。それで私からアプローチして付き合って貰ったんだ。」
ひ、、人柄まで良すぎる…。
僕はクラっとする頭を押さえて、おめでとうと告げた。
「じゃぁ、私はこれで。またね。」
まどかちゃんは上機嫌でその場を去っていった。
これは、何の天罰だ?
厨二病全開でこないだマルチ商法の一般人を傷つけた罪か?
「黄昏れてる場合じゃないよ。怜一。」
モルの声でハッとした。
「まどかちゃんの彼氏、あれはワルワル人の臭いがする。」
「えっ?何言ってんだよ。あんな人柄良さそうなイケメンが?
というより、写真からでも判別できるのかよ。」
「僕は有能だから写真だろうと姿さえ見ればわかっちゃうんだなぁ。」
ドヤるんじゃねぇ。違法契約モドキ野郎が。
モルが僕のみぞおちに体当たりをした。
ぐふっ…。
勢いありすぎて苦しい。
「ワルワル人は人間に擬態できる。人間であればブサメンだろうとイケメンだろうとわけないんだよ。」
僕は悶えながら、モルを見る。
「いい人ぶってるだけってことで本当は悪い奴ってことか?」
「まどかちゃんは騙されている。」
僕は涙目になった目を拭い、痛みに耐えてシリアスな顔をしてみせた(と思う)。
「まどかちゃんが危ない!!」
モルもコクリと頷き、僕は走り出した。