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季節は巡り、そして

季節は巡り、そして僕達は・・・・

作者: たかげるげ

 今日は僕の誕生日

11歳になった。

もう何回目だろうか。

僕が11歳になるのは・・・・。


 初めて11歳になった時、プレゼントは当時出たばかりのファミコン。

中島とかを呼んで、夢中になって遊んだ。

翌年の11歳も、ファミコンソフトだった。


 それからス―パーファミコン、ゲームボーイ、セガサターン。

野球のボール、バット、ローラースケートなど・・・・。

毎年誕生日には色々もらった。

でもそれは皆、数年たつと跡形もなく消える。

母さんに聞いても、父さんに聞いても、あった事の記憶すらなくなっている。


 玄関の扉が開く音がした

「磯野、野球しようぜ」

中島はいつもノックもせず、チャイムも鳴らさずに、勝手に玄関のドアを開ける。

昔からずっとそうだ。家族もそれは当然のように受け止める。

僕はバットを持って玄関に行こうとするが、違うと気づき、バットは元の場所に戻して玄関に駆けつける。

「中島、もう空地はなくなっているじゃないか。野球なんか出来ないぞ」

「そうだった・・・じゃあ、地区センで卓球やる?」

「そうだな」


 いつも野球をしていた空地が工事中になり、建築中となったのは数か月前の事だった。

この土地は、誰か他の人の物だったのだった。知らずに遊んでいた。


 街並みは変わる。平屋ばかりだったのが、どんどん高い建物になっていく。

マンションや団地が建ち始める。人口が増え、僕の通う小学校もクラスが増えていく。


 でも僕の家、僕の友達、親戚、父さんや母さんの友達、妹の友達の家はずっとこのまま。変わらない。

かかわりのない家だけが変わっていく。


 地区センターでは、娯楽コーナーにお年寄りが囲碁や将棋を楽しんでいる。

会議室からは、おばさんの声の合唱が聴こえる。

最近定年を過ぎた人をよく見かける。高齢化社会だってさ。

でも、僕や僕の家族、友達。僕とかかわりのある人は

年をとる事はない。


 僕たちはそういう世界に生きている。

そういうものだ。


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