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匂いノルマと等価交換

 翌日、学校内で天空寺さんと教室や廊下で何度もすれ違ったが会話もなければ挨拶一つもなかった。昨日のことが嘘のように思える。実は昨日のやり取りは俺の夢だったのではないかと思い始めていた。

 授業中、俺は離れた所に座っている天空寺さんを眺めていた。先生の話を真面目に聞いてノートをとっている。あんな人が匂いフェチな訳ない。昨日の話は夢だったのだ。俺は一人で納得していた。


 そして、天空寺さんと何事もなくあっという間に放課後になった。俺は荷物を纏めて教室を出て走り出そうとしていた時だ。


「如月くん。待ちなさい 」


 俺はピタリと止まった。この声が誰なのか考えなくてもすぐに分かる。


「て、天空寺さん 」


 俺は後ろを振り返った。天空寺さんは真っ直ぐな目線を矢のように放ち俺の後ろで立っている。


「まさか帰ろうとしてないわよね? 」


「帰ったらダメなのか? 」


「一つ忘れていないかしら 」


「何かあった? 」


「昨日の会話。もう忘れた? 」


 俺は昨日の会話も何とく思い出していた。匂いノルマとかあったような気がする。


「匂いノルマ? 」


「そうよ。今日は如月くんの匂い....一度も嗅いでいないのよ。だから....嗅がせて? 」


「い、嫌 」


 俺が拒否をした瞬間、天空寺さんはこの世の終わりというような絶望の表情を見せる。


「そ、そんな....お願いよ、嗅がせなさいよ」


 困った物だ。俺は匂いフェチではないから天空寺さんの気持ちは全く理解できない。天空寺さんは昨日のように目に涙を浮かべる。そういうことには俺は弱い。


「わ、分かったよ。嗅いでいいよ 」


「流石如月くんね。じゃあ遠慮なく 」


 天空寺さんは俺の手を握ると誰も使わない多目的室へ連れて行く。多目的室に入るとその場でしゃがみ込んで俺の胸元に顔を埋める。そして、昨日のように鼻音を大きく立てて匂いを嗅ぎ始める。


「すーーーっ....くんっ....くんっ....くんっ....はぁー癒されるわ〜 」


 俺は体の芯から熱くなっていた。サウナにでも入っているような気分だ。それは美少女に匂いを嗅がれて興奮しているとかではなく単純に恥ずかしいからだ。


「も、もう良いだろ 」


 俺は天空寺さんを胸から引き離す。天空寺さんは子犬のような目で俺を見る。


「もう終わり? 」


「ああ。終わりだ 」


「嫌よ。今日の匂いノルマ達成してないわ」


「恥ずかしいんだよ。それにもしも誰かに見られたどうする 」


「その時はその時よ 」


 天空寺さんは俺の手に反抗して再び胸に飛び込もうとする。そんな天空寺さんを必死に俺は止める。


「は、離しなさい 」


「嫌だ 」


「離しなさいよっ 」


「絶対離さない 」


 俺の必死な抵抗に諦めたのか天空寺さんは突然胸に飛び込むことを止めた。これで帰れるそう思った時だ。


「分かったわ。よくよく考えてみれば私だけ匂いを嗅がせてもらって如月くんには何もしてあげてないのがいけないわね 」


「いや、そういう話でも....」


「こうしましょう。私は如月くんの匂いを嗅がせてもらう代わりに如月くんには私の下着を見せてあげるわ 」


「え、なんでそんなことに....」


「如月くんが恥ずかしいことしてるから私にとっての恥ずかしいことをしてあげようと思って。つまり等価交換よ 」


 俺が何も言わずに黙っていると天空寺さんは制服のボタンを外し始めた。制服の中からは何カップか分からないがたわわに実った胸が黄色のレースのブラに包まれている状態で姿を見せる。

 眼福なのだが悪いことをしている気分になる。元はと言えば勝手に脱ぎ始めたのは天空寺さんだが。


 天空寺さんの胸を見ていると親戚から贈られてきたメロンを見ているような気分になる。それ程ゴージャスな胸をしている。


「で、でかい」


「は、恥ずかしいわっ....で、でも、等価交換しないと....」


 天空寺さんの胸を思わず直視してしまう。真っ白で形の整った丸みが綺麗な国宝級の胸に言葉が出てこない。

 天空寺さんは顔を真っ赤にさせてプルプル震えながら下着を見せている。


「しゅ、終了よ。次は私の番よ 」


 天空寺さんはボタンを止めると俺の胸に飛び込んできた。そして顔を埋めて匂いを嗅ぎ始めた。

 先程よりも大きく音を立てて嗅いでいる。


「たまらないわぁ〜この如月くんの匂いぃ〜。誰よりも良いわぁ〜 」


 恥ずかしいけど天空寺さんの下着を直視してしまった俺は何も言えずに天空寺さんに従うことしかできなかったのだ。


「恥ずかしいなー。これからも続くんだよな....この関係....」


「くんっ....くんっくんっ.....はぁ〜。最高よ。今日の匂いノルマ達成できたわ。ありがと 」


 満足した天空寺さんは俺から離れる。

 今日の匂いノルマがようやく終了した。天空寺さんはニコニコしていた。気のせいか肌もツヤツヤしているように見える。


「これで帰れる? 」


「そうね。この際だから一緒に帰りましょ? 」


 俺はその場の成り行きで天空寺さんと一緒に帰ることになった。学園の美少女と一緒に帰ることができる俺は中々得をしていると思う。匂いフェチな所がキズだが。

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