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見栄張って仲間を全員逃して1人になってから死にたくないってみっともなく泣きながら戦って死ぬ男

作者: ごまどうふ



「クソックソッ、ガラにもねえことしちまった。馬鹿か…!?」


恐怖で手が震えシリンダーを入れることが出来ない。


「何カッコつけてんだ俺は…っ、頭沸いてんのか」


目の前には妖魔族であろう化け物がいる。

体長は7〜8メートルで色は黒く、頭は球体で目が3つあり口は見当たらない。胴体は細長く蛇のようで中頃がら腕が4本生えている。


「いつもみたいに日和って1人で逃げりゃいいのによぉ………っ、ここでいくら頑張ったって誰も見てねぇじゃんか……、見栄だけは一丁前なんだよなクソ……」


やっと弾が入った銃を化け物に向けて狙う。しかし、全身が恐怖で震えていて狙いなど定まったものではない。


「こんなことする勇気があるなら生きてる間にもっと色々やれただろうがよ……ったく」


息は乱れ口からは悪態が止まらなかった。頭のなかには自分が今までに経験してきたことが濁流のように流れていく。


目の前の化け物の腕が近ずいて来るのでそれを追い払うかのように銃を撃つ。


震えた身体で撃った弾が狙ったところに当たるはずが無くあっさりと体を掴まれてしまう。


口がガチガチとなり、めからは涙が溢れ出てくる。もう出来ることなどないことを悟りながらも手のなかで必死にもがき続ける。


化け物がうっとおしく思ったのか握る力を強めてきて、完全に身動きを封じられてしまった。



「死にたくねぇよぉ……」


人生が終わる最後の願望は儚く砕け散った。

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