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綾瀬さんとの昼休み

 「説明してもらおうか」

 一限目終了後の休み時間。待ちわびたと言わんばかりに高岡がやってきた。

 「お前と綾瀬さんはどんな関係だ、昨日何があった。さあ言え包み隠さず全て伝えろ」

 尋問するように聞いてくる高岡。しかし、こちらにも守秘義務がある。というか綾瀬さんが死なない体で僕だけが彼女の死を認識できる関係なんて言っても信じてもらえないだろう。

 「ただの友達だよ」

 そう答えるので精いっぱいだった。これ以外答えられないし、むしろこの答えで綾瀬さんとの関係は説明できてしまう。

 質問への返答をして黙っているとやがて高岡は口を開いた。

 「それだけ?」

 「それだけ」

 「なんでお前を朝から呼びに来たんだ?」

 「ちょっと綾瀬さんから青春について熱く語ってもらっただけだよ」

 「なんだそれ」

 高岡が笑う。さっきまでの問い詰める雰囲気はなくなっている。それを見て僕は安心する。

 「昨日いろいろあって綾瀬さんと青春することになったんだ」

 「青春なら部活やろうぜ! 水泳部はいつでも綾瀬さんを歓迎だ!」

 やはり青春というと部活が真っ先にでてくるのか高岡が嬉しそうに話す。ごめん高岡、水泳部は候補に入ってないんだ。

 「ええっと、既存の部活に入るんじゃなくて新しく部を作るんだって」

 都合の悪い部分は隠して伝えられる部分を伝える。

 「それなら俺もその部に入ろうかな」

 「お前水泳部はどうした」

 「そうなんだよ、もう水泳部に入ってるんだよ。でもうちの学校兼部については特に決まってないから名前だけでも貸すぜ?」

 「ありがとう高岡。もし部活ができたら水泳部が休みの時に顔出してくれよ」

 「おう! まかせとけ!」

 高岡は笑顔で承諾した。そのあとは部活設立について高岡と一緒に考えて休み時間は終わった。



 「起立、礼!」

 授業終了の号令を言い終わり昼休みになった。席に座り直し伸びをしているところでまたしても教室の出入り口から声がかかる。

 「おーい、桐ケ谷くーん!」

 綾瀬さんだ。手に弁当らしき袋を持って手招きしていた。そういえば昼休みに来るって言ってたっけな、もしかしてお昼を一緒に食べる流れかな?

 「お昼一緒に食べよー!」

 やはりそうだったらしい。僕もカバンの中からパンの入ったコンビニ袋を取り出し、教室の出入り口に向かった。

 途中、高岡に今日は一緒に食べられないことを伝えると。

 「羨ましいけど、今日は部活のミーティングがあるから一緒に行けないぜ。次からは俺も誘ってくれよ?」

 「綾瀬さんが了承したらね」

 「生意気な」

 高岡と軽口をたたきあったあとに教室を出た。そしてやはりというべきか男子からの妬みの視線が背中に突き刺さるのであった。

 


 「寒いねー」

 「なら中で食べようよ」

 綾瀬さんと弁当を食べにやってきたのは学校の中庭だった。この季節外で食べるもの好きはおらず、中庭には人影がなかった。

 「他だとみんながいるからね。桐ケ谷君だって知らない人が大勢いる中でお弁当食べたくないでしょ?」

 みんなというのは友達のことだろう。綾瀬さんのことだ、いつもは男女問わずたくさんの友達に囲まれて食事をしているのだろう。

 「うん、そうだね。お気遣いどうも」

 素直に感謝の言葉を述べる。僕はいつも高岡と二人で食べていたので大人数でのそれも知らない人との食事は遠慮したかった。

 「えっと、それで青春部についてなんだけど」

 弁当を食べ進めながら本題に入っていく。

 「どうも部活を作るには最低4人の部員と顧問の先生が必要みたいなの」

 部活の設立方法について調べたようで、条件を語っていく。

 「部員に関してはこっちで一人名前を貸してくれるやつがいるよ」

 「ほんと? ありがとう。でも問題なのは顧問の先生の方よ。ほとんどの先生が部活を受け持っている状態なの」

 「ほとんどってことは全員じゃないんだよね? ならその先生たちに話してみたらどうかな」

 綾瀬さんなら先生方からの評判もいいはずだ。これなら意外とすぐに部活を設立できるかもしれない。そう思っていたのだが。 

 「それがどの先生にも断られてしまったの。青春部なんていう活動内容があやふやなものを部に認めることはできないって」

 ですよねー。青春部なんて怪しい部の顧問になる先生なんているはずもなかった。

 「じゃあ、どうするの? 既存の部活に入ることにするの?」

 「部活を諦めるって選択肢もあるけれど、せっかく桐ケ谷君がやる気になってくれたんですもの。何かしらの部活には入ってみようと思うわ」

 どうやら部活をすることに関しては諦めていないようだ。しかし、既存の部活といっても何部に入るんだろう?

 「なにか候補とかあるの?」

 「ええ、いくつか人数不足で休部状態の部活があるの。そのなかでも人数の最も少ない部活にすることにしたわ」

 なるほど、人数が少なければ多少の勝手も許されるという計算か。それに休部状態なら部員も幽霊部員である可能性も高い。

 「それで今日の放課後に部の見学にいこうと思うんだけど、一緒に行ってくれる?」

 「もちろん。で、何部に入るつもりなのか教えてくれるかな」

 「それは放課後になってからのお楽しみ」

 綾瀬さんがにっこりと笑う。どうやら部活については秘密のようだ。

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