桐ケ谷くんと新しい日々
見知らぬ場所に立っていた。真っ白な世界だ。
「確か僕は、屋上で……」
そうだ、自分自身に落とされて死んだんだ。ということはここが死後の世界? なにもないところなんだな。
「こんにちわ」
不意に声をかけられ驚く。まさか僕以外にも人がいるとは思わなかった。慌てて声のした方向に向くとそこには銀髪の少女が立っていた。
「君は確か…」
ユイ、彼女は以前そう呼んでくれと言っていた。そして質問もされたっけな。
「もしかして質問の答えを聞きに?」
ユイはこくんと頷いた。
「そうだなー、死んでしまった後に言うのもあれだけどね」
僕は自分自身の答えを告げることにした。
「僕は足掻きたいって思うんだ。大切な人と一緒に居たいから足掻いて足掻いてそれでもだめなら、うん、その人のために死ねると思うよ」
「あなたは諦めないのですね。自分が死んでしまったあとでもその人のことを想っているのですね。あなたにならチャンスを与えてもいいかもしれませんね」
「え、チャンスって?」
「あなたはこれから眠りにつきます。目が覚めてから先のことはあなた自身の力で切り開いてください」
そうして意識がだんだんと白い世界に溶けていく。世界が終わり、僕の日常が始まる。
「桐ケ谷ー、おーい聞いてるかー?」
誰かの声がする。だんだんと意識が覚醒していく。
「あれ、高岡? なにか用?」
「お前この短時間で寝てたな! 今度の休みどうするかって話してただろうが!」
「ああ、ごめんごめん。今日は暖かいからついうとうとね」
「ったく、しっかりしてくれよ。それでどうする?」
「特に予定は入ってないから遊ぼうか」
「おう、遊ぼうぜ。なんなら女子を誘ってくれてもいいぞ」
「女子かー茅野さんとか?」
「茅野ってお前、あいつと友達だったのか? あいつ大人しい感じの子だろ? そんな奴が男子二人と遊ぶか?」
「あー高岡は知らないんだっけ。僕、茅野さんと幼馴染なんだよ。それに彼女のんびりしてるけど結構気さくでいい子だから問題ないと思うよ」
「なに! それは本当か? なら次の休みは3人で遊びに行こうぜ!」
「OK 茅野さんは僕から誘っておくよ」
「おう、頼んだぜ!」
僕の日常は進んでいく。ふとなにかが足りない気がするけど、きっと気のせいだろう。友達と幼馴染がいる学校生活には満足している。これ以上を望むなんて罰が当たってしまう。
でももし、この日常に新しい要素を取り入れるとしたら。それはきっと大切な人と過ごす穏やかで賑やかな日常なのだろう。
これにて『綾瀬さんは青春がしたい!』は完結となります。
ここまで読んでいただいいた方には最大限の感謝を。
初めての投稿ということもありいろいろと消化不良な部分があったと
思います。この作品の経験をばねに次の作品も書けたらなと思います。
それでは短いですがこれにて。次の作品で会えることを願っています。




