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4.ギルドってどんな所?

 さて。前口上はすんだ。

 いよいよ、ここから本番の開幕である。

 俺は何のために新世界へ来ているのか。そう、ギルドで働くためである。

 ギルド。そこは勇者たちに仕事を与え、食事を提供し、彼らの戦いのサポートをする所。数多の冒険者に愛され、裏方として街のあらゆることへの手助けを行う所。

 そう、ギルドとは街の人々にとって最も欠かせない所だ。

 そしてそこが俺の新天地であり、これから始まるであろう日々の舞台だ。

 先日魔方陣が立ち上げられたとき、俺が手のひらを返したかのように元気になった理由。それは職場がギルドと聞いたからである。

 皆さんは、先日俺がトイレに突っ込んで左遷された友人の話をしたのを覚えているだろうか。そう、その男である。

 なにを隠そう、あいつの出向先は新世界。しかも冒険者ギルドだ。まぁ俺の行くギルドとは別の場所なのだが。

 で、何が言いたいかというとあの話には続きがある。

--------------------------------------------

 一月ほど前のことだが、あいつは帰郷の申請が受理されて久々に天界に帰ってきた。

 その話を聞いた俺は、あいつの宿舎に駆けつけた。

 数少ない友人の顔を見ておきたかったというのもあるが、何より新世界の話が聞きたかった。

 と言うのも、天界において新世界は野蛮なところだと伝えられているのだ。

 なんでも、いくつもの種族と人類の間で、領地をめぐって絶えず争いが起きているのだという。

 実際に、天界から新世界へ出張した人が死に戻りするなんてことはよくある話だ。

 だから俺自身、新世界には嫌なイメージしか持っていなかった・・・まぁ今もそれが払拭されたわけではないが。

 俺が友人から一刻も早く話を聞きたかった理由。それは実際の新世界がいかなる場所なのかを尋ねたかったからに他ならない。

 幸い俺が訪ねた時、友人の部屋には彼しかいなかった。

 さっそく新世界での生活を尋ねた俺に友人はこう答えた。

「あそこはとてつもなく刺激的な場所だよ。毎日のように命の奪い合いが行われ、それ故にどこもかしこも活気にあふれている。そして誰もが生きる希望を持っている。死人同然の僕たちとは大違いだよ。」

 彼の言葉は俺が抱いていた新世界とはまったく違うものだった。

 そして彼の言葉が真実だということは彼自身を見れば明らかだった。

 彼の目は、充実と希望で眩く輝いていたのだ。

 俺はその時、不覚にも羨ましいなと思ってしまった。

 正直、天界はつまらない所だ。永遠に等しい時間をただひたすら雑務に費やしていく、そんな生活に覇気も活気もあるはずがない。

 だから、彼の話す新世界に、俺は魅力を感じた。

 もちろん、新世界は諍いに満ちていて、安全とは程遠い。危険を冒してまで住みたいとは思えなかった。

 それでも、言葉で説明できないような好奇心が俺の中には生まれていた。

 その好奇心が尽きない俺は、彼に続きをせがんだ。

「確かお前って、ギルドで働いてんだっけ?ギルドはどんな感じだい?」

 俺の質問に、彼は待っていたとばかりに答える。

「よくぞ聞いてくれた。聞いて驚け、あそこは美女揃いだ!」

「なん・・・だと?」

「フハハハハ。ギルドと言えば町の花、当然美女が職員として雇われるってわけよ」

「その話、もっとkwsk」

「ムハハ、お前さんならそう言うと思ったぜ」

「ありがとう友よ!」

「礼はいいからまぁ聞け。ギルドの職員だとな、その美女軍団と一緒に仕事をするわけだ」

「そうだな」

「そうすると、仕事中に不慮の事故ってのが起きても仕方がないんだよ」

「な⁉︎お前・・・天才か?」

「フハハ、そうだろうそうだろう。そうやってお近づきになった後は・・・ここから先は昼間にする話じゃねぇなぁ」

「おいお前!こっちで仲良くなった時、一緒に童貞を守ろうって約束したじゃねぇか!」

「悪りぃな。一人だけ先に大人になっちまって」

 俺は後にも先にも、これほどまで人を妬んだことは無かった。

 それぐらいにあいつの顔は憎らしくて、少しだけ、羨ましかった。

--------------------------------------------

 あいつとはあれ以来会っていないが、今でもくそリア充なのだろうか?だったら殺す。

 さて、分かっていただけただろうか?

 あいつとのこんな会話のせいで、俺はギルドに憧れを抱いている。それはそれは強力な憧れを。

 先に言っておく。俺はギルドにすげぇ期待してる。

 この期待、裏切るでないぞ・・・。


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