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creator  作者: 大矢ユウ
2/16

第一話 天才ゲーマー

『creator』問題が世間を騒がせてから3年の月日が流れ、人々は事件のことを日に日に忘れ始めていた。

事件が起き始めてから半年後、制作関係者が突如として姿をくらまし、何とも言えない形で事件は収束していった。


「なんか面白いゲームねぇかなぁ、できればやりごたえがあるゲームがいいな、最近のゲームはどれも簡単すぎる」

天才ゲーマー城間類(じょうまるい)は親友であり幼馴染である赤坂慎吾(あかさかしんご)に学校の帰り道そう語りかけた。


「何言ってんだよ類、お前が上手すぎるんだよ、俺なんかまだ闇の神殿だぞ!あそこのボス全然たおせねーんだよ!お前はもうあのゲーム自体クリアしちまったんだろ?」


そう俺はいくつかのオンラインゲームなんかでかなり名を知られているほどだ。

「あぁ、天才ゲーマーとして特に得意分野のアクションに関しては俺に不可能はないからな、それに慎吾、残念なことにお前にはアクションゲームは向いていない」

俺の正直な答えに慎吾は「なんだよそれー」っと不満げに言っていたが何かに気づきすぐに話題を切り替えた。


「あれ、お前の家の前に誰かいるけど…知り合いか?」

そう言われ見てみると黒服の190㎝はあろう巨漢の男が2人が俺の家の前に立っていた。

道路わきには高そうな車も止めてある。


「あんないかにもヤバそうな連中が俺の知り合いだと思うか?」

俺がそんなことを言っていると黒服の1人が俺に気づき近づいてきた。


「じゃ…じゃやあ俺はこれで…」

慎吾はこの状況で親友の俺を差し置いて自分の家に入って行ってしまった。


「城間類様ですね、単刀直入に言います、あなたの協力が必要なのです。もちろんしっかり報酬も支払わせてもらいます。詳しいことは本部の方で説明させてもらいます。さぁ、車にお乗りください。」

黒服の男はいきなりそんなことを言ってきた。


「まったく意味が分からないんだが…それに俺はこう見えても忙しいんだ。早く帰って面白いゲームを探さなきゃいけない」

俺はそういうとさっさと家に帰ろうとした。


「『creator』…というゲーム機はご存知ですか?」

もう一人の黒服が突然俺に向かってそう言った。


「…知ってるも何も、3年くらい前に死者続出させて大問題になってたじゃねーか」

確かに大量に人死にがでるくらいだ、相当設計に問題があったんだろう。

しかし興味がないと言ったらウソになる。なんてったって自分の理想のゲームをしながら死ねるんだ。

しかし『creator』は値段が高すぎて当時の俺では到底…いや、今でも到底買うことはできなかっただろう。


「あなたには『creator』を実際にプレーしていただきたいのです。」


「『creator』をプレー!?あのゲーム機は事件の後ほとんど警察が回収したんだろ?そんなのできるわけないだろ」


「ですから詳しいことは本部で…」


「ええぃ!お前たちの説明じゃ怪しまれるだけじゃないか!」

突然車の方から声がして振り返るとそこにはグレーのスーツを着た茶髪の美人の女性が立っていた。

髪はポニーテールにしおり。眼鏡をかけていていかにもキャリアウーマンっぽい恰好だった。


「我々は警視庁『creator』特別対策課の人間です。天才ゲーマーと噂のあなたに是非ご協力をしていただきたいのです。」


彼女から渡された名刺には確かにそう記されていたが俺は彼女が言っている意味がよくわからなかった。

「『creator』特別対策課って…たかがゲーム機の何を対策するんだよ。最悪壊せば済む話だろ。」


「いくら壊そうとしても壊れないのです。あのゲーム機は何か特別な技術を用いて作られているようなのです。そしてあのゲーム機『creator』には意志が存在しているのです、おそらく3年前に『creator』に取り込まれた人々の意志が未だに残り続けているのではないかと思っているのですが…」


ゲーム機に意志がある!?

「で…でも別に意志があったところで使わなければ何の意味もないだろ。まさか動き出すとか言うんじゃないだろうな?」


「いいえ、そんなことはないのですが…、あのゲーム機は自分の意志でインターネット上に侵入してくるのです、そしてもうすでにいくつもの被害が出ています。まだ被害は小さなもので済んでいますが、今や日本には電波の届かない場所などありません。大きな被害が出てからでは遅いのです。」


なんだそういう問題か、それなら。

「別に海外にはまだ電波の届かない場所もあるだろ、そういうところに捨ててこればいいじゃねーか。」


俺がそういうと彼女は困ったように言った。

「そうは行かないのです。あのゲーム機は我々の予想をはるかに超える技術を持っています。今や飛行機や船の中にもインターネットの環境が整っています。これらをハッキングされたらたまったもんじゃありません。それに海外に持ち出すことができたとしてもいずれその地にもインターネットの環境が整ってしまう可能性があります。所詮一時しのぎにしかなりません」

飛行機や船までハッキングできるほどの技術を持った意志のあるゲーム機…


「で…でもその問題に俺の協力がなんで必要なんだよ。」

そうだ、俺はゲームに関しては天才だがまだ普通の高校生だ。


「我々は『creator』の対処法を考えているうちに一つの答えにたどりつきました。それが実際に『creator』をプレーしその中に存在する意思を断つことです。我々は世界各地から優秀なプログラマーを集め『creator』の中に入る技術を完成させました。そしてすでに各地から何人かあなたのような天才ゲーマーと呼ばれる人間をスカウトしてあります。今のあれはまさに悪霊と呼ぶにふさわしいのです。どうかご協力していただけないでしょうか。」

3年前世間を騒がせた『creator』、その時取り込まれた意志が今様々な被害を及ぼしている…悪霊か…


「いいぜ、協力してやるよその悪霊退治、俺も最近のゲームはどうも面白みがなくて退屈してたとこだ」

俺はそういうと車に乗り込んだ。




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