第十四話 小さな小屋
俺たち五人はとにかく探し回った。
ワタルが言っていたことが本当ならこの近くに奴、マルスは要るはずだ。
「なかなか見つかりませんね~ワタルさんの言ってたことは本当なのでしょうか~」
リンネさんがそういう。確かに本当かどうかの保障はない、でも今の俺たちにはそれしかマルスに関する手掛かりはないんだ。
森の中を進んでいくと、そこには小さな小屋が建っていた。
「おや…、どうしました、道に迷われたのですか?」
小屋の外でまき割りをしていた一人の青年が俺たちに気づきそう声をかけてくる。
俺はほかの四人に十分注意するよう促しそいつに少し質問してみることにした。
「俺たち実は魔王を倒すために旅しててな、このあたりに魔王が潜んでるって聞いて探してたらここにたどり着いたんだ」
「この森に魔王が!?ぜ、ぜひ倒してくださいね、あ、そうだ、ずっと探し回っていたならお疲れでしょう、少し休んでいかれたらどうでしょうか?美味しいコーヒーがありますので」
男はそういうと斧を壁に立てかけて小屋の入り口を開けた。
「どうする類?信用しても大丈夫なのかな?」
京子が心配そうに問いかけてきた。
「十分警戒しといた方がいいだろうが、今はその行為に甘えさせてもらおう」
俺たちは青年に続き小屋の中に入って言った。
小屋に入ると何やら少し異臭のようなものがした。
「どうかなさいましたか?」
「あっいや…何でもありません、なぁみんな…この匂いなんだと思う…?」
「匂い?何のことだ?」
俺の質問に京介がそう答える。
なんだ…?この匂いは俺しか感じてないのか…?
それにこの机…何かにシートを被せてあるだけでしっかりとした机じゃないな…
俺がそんなことを考えていると青年がコーヒーカップを人数分持ってくる。
俺たちはその中から好きなコーヒーカップを手に持った。
しかし警戒心から誰もコーヒーを口にしようとはしなかった。
「どうしたんですかみなさん…?飲まないのですか?」
男はそういうと残っていたコーヒーカップを持ち飲みだした。
それを見て安心したのかほかのみんなもコーヒーを飲もうとする。
ダメだ…まだ安心しない方がいい…!
「あ、あの、この匂い…なんですかね?」
俺が口を開くと全員手を止め俺に注目した。
「だから匂いってなんだよ、さっきから、失礼だろこの人に」
「いえいえ仕方ないんですよ、この小屋の裏にゴミを捨ててるものでして、きっとその匂いでしょう」
なんだそういうことか…
いやちょっと待てよ…?
「あなたはどこで暮らしてるんですか…?」
俺の答えに青年は少し戸惑ったがすぐに答える
「もちろん、この小屋ですけど…それがどうかしたのですか…?」
そうか、やっぱり…
俺は剣を青年に向けた
「おまえがマルスだな?」




